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HASSE/Works for Flute
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Imme-Jeanne Klett(Fl)
Nele Lamersdorf(Fl)
Elbipolis Barockorchester Hamburg
ES DUR/ES 2062




このサイトに初登場、1993年にハンブルクで創設された新しいレーベル「ES DUR」です。ユニークなのは、ブックレットに最初から日本語の解説が入っているということです。つまり、ドイツ語、英語、フランス語のアルファベットに続いて、なんと漢字やひらがなのページが現れるのですね。これはいい感じ。ただ、誰が訳したのかは分かりませんが、その訳文は結構いい加減、フルート奏者が作曲まで手掛けているように読めてしまいます。英語やドイツ語の同じ部分にはそんなことは書かれていないのに。
ヨーハン・アドルフ・ハッセと言えば、18世紀の半ばに多くのオペラを作った作曲家として知られています。1699年にハンブルクの生まれと言いますから、このレーベルともつながりがあるのでしょう。ここでは、ハンブルクで活躍している演奏家によって録音されたフルートのためのソナタと協奏曲、そしてフルート2本による二重奏を聴くことが出来ます。
ハッセはバッハの一回りあとの世代になるのでしょうが、一生ドイツで暮らしたバッハとは異なり、若いころにはナポリに留学、その後もイタリア国内やロンドン、ウィーンでも活躍、晩年はヴェネツィアで暮らしたという国際的な人でした。
まず、協奏曲が最初と最後に1曲ずつ収録されています。いずれも3つの楽章を持つイタリア風の典型的な協奏曲のスタイルです。最初のロ短調の曲では、真ん中の楽章は長調に、逆に、最後のト長調の協奏曲では、真ん中の楽章は短調になっているという、分かりやすい構成です。この時代の曲を演奏する時には、どんな楽器を使うかがまず興味の対象ですが、ここでクラットというおそらく50代の女性フルーティストは、ハンス=ヨヘン・メーネルトという珍しい木管を使っています。ベームシステムのメカニズムですが、とても鄙びた音色がこの時代の作品に良くマッチしています。そして、クラットはノン・ビブラートでさらにピリオド感を漂わせています。しかし、その吹き方には目の覚めるような爽快感があり、華々しい装飾と相まって、とてもスタイリッシュ、ピリオドでありながら現代感覚も併せ持つというなかなか素敵なことをやっていましたよ。特に目覚ましいのが、オクターブを上げての華麗なパッセージです。ピリオド楽器ではこんなことは無理でしょうね。
協奏曲ですから、カデンツァも挿入されています。ロ短調では第2楽章だけですが、ト長調では全楽章に入っています。おそらくクラットの自作でしょう、ありきたりのフレーズではなく、次々に思ってもみなかったような展開になるという意外性がたまりません。
ソナタもやはり2曲、こちらはいずれも「教会ソナタ」のスタイルをとった4楽章形式のものです。しっとりとした情緒が漂うホ短調のソナタも魅力的ですが、よりファンタジーの溢れるニ短調の曲の方が、大きなスケールを感じます。
そして、もう2曲、今度はもう一人のラーマースドルフというやはり女性のフルーティストとの二重奏です。ただ、これはハッセのフルート曲のアルバムだと思っていたら、この2曲には「ロバート・ヴァレンタイン作曲」というクレジットが付いていました。よくあることですが、この時代の出版社は、楽譜を売るために知名度の低い作曲家の作品を、すでに有名になっているほかの作曲家の作品として出版したりしていました。この2曲も、オランダの出版社から「ハッセ作曲2本のフルートのための8つのソナタ作品5」というタイトルで出版された曲集の、7曲目と8曲目にあたるのですが、のちに、このヴァレンタインというイギリス生まれで後にイタリアで活躍した作曲家が以前に作っていた曲だったことが分かったのだそうです。確かに、これは協奏曲やソナタと比べると、明らかに作曲様式というか、作曲家の趣味が異なっていることが分かります。

CD Artwork © C2 Hamburg
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by jurassic_oyaji | 2016-01-06 20:38 | フルート | Comments(0)