おやぢの部屋2
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ブーレーズは完全に禿げあがっていた時期がありました
 去年の年末も押し迫ったころに亡くなったのが、クルト・マズアでした。とても喪中のあいさつを出す余裕もなかったでしょうに、年賀状はどうしたのだろうと、意味のない心配をしたものです。そうしたら、年を越したとたんに今度はピエール・ブーレーズが亡くなったというではありませんか。こういうのって、続くんですよね。職業柄、そういう事例をよく見ているものですから。そういえば、ニコラウス・アーノンクールも亡くなったでしたっけ?えっ、まだ?そうでしたっけ。まああの人は「引退」ですから、ミュージシャンとしての命は失った、ということですね。
 ブーレーズは、もう作曲家としても指揮者としても、確実に一つの時代を作った人でしたね。ですから、一音楽愛好家として、私も彼とは何らかの形でかかわっていたということになります。そんな、最初の「ブーレーズ体験」は、「春の祭典」を初めて録音した時のものでしょうか。なんか、「この曲のイメージを一新した」というような言い方で、日本中が大騒ぎしていたことを思い出します。もちろん、大騒ぎしていたのはほんのわずかなクラシック・ファンだけだったのでしょうが。それが、1963年に当時のフランス国立放送管弦楽団を指揮した録音です。それはその時には「コンサートホール」からリリースされたもので、ちょっと手に入りにくいものでしたが、後に日本コロムビアから出たのを聴いたような気がします(そのあたり、現物ももう手元にないので曖昧です)。ですから、先に聴いたのは1969年にクリーヴランド管弦楽団と録音した米コロムビア盤でしたね。これは、なんたってジャケットデザインが秀逸でした。これもLPはもう手放してしまったので、後にCDを見た時には、そのしょぼさにがっかりしてしまいました。
 そのころ、ブーレーズは初めて来日していましたね。1967年の「大阪バイロイト」でした。このイヴェントは今でも鮮烈に覚えています。とは言っても、実際に大阪まで見に行ったわけではなく、送られてきた大阪国際フェスティバルの案内を見ただけで、その豪華さに打ちのめされていたんですけどね。今となっては決して「天才」ではなかったことが明らかになってしまったヴィーラント・ワーグナーのバイロイトでの演出をそのまま、メインキャスト(ビルギット・ニルソンとかヴォルフガング・ヴィントガッセンとかハンス・ホッターとか)とともに大阪にもってくるというのですからね(オーケストラだけ、なぜかN響)。その時に「トリスタン」の指揮をしていたのがブーレーズでした。なんでブーレーズがワーグナー?とその時は思ったのですが、それからしばらく経つとパトリス・シェローの演出とともに新たなバイロイトの姿を作った立役者となるのですからね。
 大阪にこそ行けませんでしたが、実際に「生」でブーレーズの指揮を見たことはありました。それは1974年のニューヨーク・フィルの来日公演。NHKホールで「春の祭典」を、かなり後ろの席で聴いたのですが、とても解像度の高い、まるでレコードのようなサウンドが聴こえてきたことだけは鮮明に覚えてています。その時には、なんとバーンスタインも一緒に来ていました。その数日前に、バーンスタインが指揮をしたマーラーの5番を、モーツァルトのピアノ協奏曲の弾き振りの後に聴いたのも、かなり強烈な印象でしたね。今でこそほとんどなくなりましたが、このころの外国のオーケストラはこんな風に指揮者が2人で来ることも珍しくありませんでした。ウィーン・フィルもベームとムーティが一緒に来てましたしね。
 作曲家としてのブーレーズは、正直ほとんど縁がありません。ただ、一応フルートとピアノのための「ソナチネ」だけは楽譜を持ってます。
 音の方は、とにかく大変、これはスコアではなくパート譜。小節ごとに拍子が変わりますし、ピアノの譜面もそのまま一緒でないと、到底「合わせる」ことはできません(いや、もちろん、実際に「合わせた」ことなんてあるわけないです)。
 ただ、一応ブーレーズの追悼ということで久しぶりにこれを吹いてみたら、なんだか少しは吹けるようになっていましたね。自分の楽器から「ブーレーズの音楽」らしきものが聴こえてきたのですから、なかなかいい気持になれましたよ。これを初演したのはガッツェローニだったのでしょうが、ニコレが録音したLPがあったので聴いてみたら、高音のフラッターなんて結構いい加減でしたね。でも、いくら一人では吹けても、絶対にピアノとは合わせられないだろうな、と改めて思いました。
 篠崎さんが、FacebookにLAPの副指揮者時代のブーレーズ体験をお書きになってましたね。そんなすごい方が、もうすぐニューフィルを振りにやってきます。
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by jurassic_oyaji | 2016-01-07 21:08 | 禁断 | Comments(0)