おやぢの部屋2
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MOZARTRequiem
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Edith Mathis(Sop), Trudeliese Schmidt(MS)
Peter Schreier(Ten), Gwynne Howell(Bas)
Colin Davis/
The Bavarian Radio Symphony Orchestra and Chorus
ARTHAUS/109180(BD)




ドイツの映像レーベルARTHAUSが、「ハイレゾ・オーディオ」と銘打ったBDを何枚かリリースしました。すべて、音声トラックは24bit/192kHzのPCMによって提供されているため、「スタジオのマスターテープのピュアなサウンドを体験できる」ようになっているのだそうです。ご存知のように、BDやDVDの音声フォーマットは、最初からそのぐらいのハイレゾ仕様になっていましたから、「DVDオーディオ」や「BDオーディオ」といったハイレゾのパッケージが実現できているわけです。それをいまさらわざわざ「ハイレゾ」ということは、今までは映像ソフトではせっかくあったそういうフォーマットを活用していなかったということなのでしょう。だから「の持ち腐れ」と言われても仕方がありません。
そんな、「今までのBDとは音が全然違う」と言わんばかりのこのシリーズ、そこまで言われれば聴いてみないわけにはいかないじゃないですか。その中に、コリン・デイヴィスが指揮をしたモーツァルトの「レクイエム」があったので、さっそくチェックです。
しかし、もちろんこれは以前LDで出たこともある昔の映像です。収録されたのは1984年、その頃ならすでにオーディオの世界ではデジタル録音も始まり、CDもそろそろ普及し始めたあたりですからとても素晴らしい音を聴くことができるようになっていましたが、映像の世界ではそうはいきませんでした。基本的に、こういうものは放送用に収録されたものが横流しされてパッケージとして販売されたものなので、当然、それらはごく普通のテレビで見られ、聴かれることを前提にして作られていますから、音声トラックはとてもしょぼいものだったはずです。
画面については、BDにする意味が全くない、お粗末なものでした。肝心の音声では、メニューで今までの標準だった48kHzと、「ハイレゾ」を謳っている192kHzが切り替えられるようになっていますから、今回どの程度改善されたかを比較することが出来ます。ただ、元の音はあちこちで派手にドロップアウトが起こっている上に、オーケストラだけの時にはそこそこ繊細な音がしているものの、合唱が入ったとたんに完全に音が飽和してひずんでしまっています。そのような音ですから、いくらハイレゾになったからと言って、根本的に改善されるわけはないのですが、やはり、「より、元の音に近い」音に変わっていることは確認できます。それが一番はっきり分かるのが、「Tuba mirum」冒頭のトロンボーンのソロです。ハイレゾでは、この楽器の神々しいばかりの響きをしっかり味わうことが出来ましたが、48kHzになると、その輝きが消えてしまっているのですね。元の録音がもっとちゃんとしたものであれば、この違いはよりはっきりしてくるのではないでしょうか。
これで、手元には、デイヴィスの指揮によるこの曲のソフトが4種類揃いました。それらを聴き比べてみると、彼が使っているのは一貫してジュスマイヤー版なのですが、最初は楽譜通りに演奏していたものが、後に少し手を入れていることが分かります。それは次の2か所。まずは「Dies irae」。トランペットとティンパニのリズムが何か所かで変更されています。



そして、「Rex tremendae」では、最初の小節の管楽器の合いの手がカットされています。

さらに、これは楽譜の問題ではなく、演奏様式の違いですが、「Tuba mirum」のソリストのパートに付けられた前打音の解釈が、年代によって八分音符のものと四分音符のものがあります。

これらをまとめると、こうなります。

「Rex tremendae」では後の修復稿からはすべてこの管楽器はカットされていますから、そのあたりをしっかり取り入れるようになったのでしょう。前打音については、まさに演奏様式の「流行」が敏感に反映された結果でしょうね。確かに一時期、ピリオド陣営からは「このように演奏すべきだ」という主張が上がっていたことがありましたが、それも今では過去のものになった、ということなのでしょう。

BD Artwork © Arthaus Musik GmbH
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by jurassic_oyaji | 2016-01-29 20:10 | 合唱 | Comments(0)