おやぢの部屋2
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SCHUBERT/Operatic Overtures
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Manfred Huss/
Haydn Sinfonietta Wien
BIS/CD-1862




このCDのジャケットには「Original recordings by Koch/Schwann, remastered by BIS Records」というクレジットがありました。「Koch/Schwann」というのはLP時代から有名だったレーベルで、もちろんCDになってもなかなかマニアックなものを出していたような気がしますが、いつの間にか見かけなくなっていたな、と思っていたらこんなことになっていたのですね。どうやら、1962年に設立されたこのレーベルは、2002年にUNIVERSALに買収されてしまったようですね。その時点で、もはや新しい録音は行わなくなっていたのでしょうし、このようにUNIVERSAL以外のレーベルからも「切り売り」されるようになっていたのでしょう。なかなか厳しいものがありますね。この業界も。
このマンフレート・フスが指揮するハイドン・シンフォニエッタ・ウィーンによる「シューベルトのオペラ序曲集」は、KOCH/SCHWANNによって1997年に録音され、CDもリリースされていましたが、長らく廃盤状態にありました。なんでも、これらのフスの録音はマニアの間では非常に評判が高買ったのだそうです。中古市場では高値で取引されていたかね?それが2012年に晴れて再リリースされたということです。確かに聴いてみると、BISで録音されたものとはかなり違う、ちょっとどんくさい音でした。特に低音のヌケが悪く、なにかもっさりしている感じです。それでも、BISのエンジニアによってリマスタリングが施されていますから、かなり修正されてBISのサウンドに近づけるような努力はされているのでしょうね。元の音をぜひ聴いてみたい気がします。この再リリースに際しては、フスによって新たに書き下ろされたライナーノーツが掲載されています。
シューベルトはオペラや劇音楽にも精力的に挑戦していて、20曲以上の作品を残していますが、そのうち完成したのは11曲だけでした。しかし、その中の「ヴィラ・ベッラのクラウディーネ」というオペラは、友人に預けた自筆稿が、その妻によって誤って暖炉にくべられてしまったため、一部しか残っていないのだそうです。何とももったいない話ですが、バッハの作品なども、そのようにしてこの世からなくなってしまったものがたくさんあるのだそうですね。
ここでは、そんなオペラのために作られた10曲の序曲が演奏されています。それらは、シューベルトの生涯にわたって作られたものでした。最初の「水オルガンを弾く悪魔」は、彼が14歳から15歳、あのサリエリの個人レッスンを受けるようになり、コンヴィクトに入学した頃の作品ですし、最後の「フィエラブラス」は26歳になって、「未完成交響曲」が作られた頃のものです。
演奏しているハイドン・シンフォニエッタ・ウィーンは、1984年にフスによって設立されました。1991年からはピリオド楽器による演奏を行なうようになり、これまでにハイドンやシューベルトを始めとするバロックから19世紀初頭の作品を演奏しています。学究肌のフスによって初めて録音された珍しいものも、その中にはあります。
このシューベルトの序曲集も、なかなか珍しいレパートリーなのではないでしょうか。もちろん、ほとんど初めて聴いたような気がするものばかりですが、それがさらにピリオド楽器による演奏なのですから、興味は尽きません。特にフルートは、モダン楽器で吹いても大変だな、と思えるようなフレーズがあちこちに出てくるのには、ちょっと驚かされます。さらにホルンも、滑らかに歌うような本来はとても美しいはずのコラール風のパッセージが、ゲシュトップでなかなかコミカルな味に変わっているのも、ちょっと不思議、シューベルトはこの楽器が将来バルブやピストンを持つことを予測していたのでしょうか。
演奏自体もとてもアグレッシブなもの、ティンパニの強打に煽られて、とてもハイテンションな音楽が味わえます。これがシューベルトの本来の姿なのかどうかは、ちょっと判断の付かない「ヘタウマ」の世界が、ここには広がっています。

CD Artwork © BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2016-02-18 23:09 | オーケストラ | Comments(0)