おやぢの部屋2
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Birds of Paradise
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Bart Van Reyn/
Octopus Chamber Choir
Et'CETRA/KTC 1529




「オクトパス室内合唱団」というベルギーの合唱団の新しいアルバムです。全く聞いたことのない名前の合唱団ですが、2000年にここでも指揮をしているバルト・ファン・レインによって作られた、まだ新しい団体です。なんでも、この合唱団は100人程度の「大きな」合唱から、24人ぐらいの「室内」合唱まで、さまざまな需要に対応できるような形をとっているのだそうです。名前も、今回のように小編成の時には「オクトパス室内合唱団」ですが、大編成になると「オクトパス・シンフォニー・コーラス」という名前になって、オーケストラとの共演なども行っているということです。メンバーはプロとセミプロが半々、さらには、プロを目指す学生たちがキャリアを積むための場としても提供されているのだそうです。もちろん、レパートリーはバロックから現代までをカバーしています。それにしても、「オクトパス」というのはユニークなネーミングですね。そのような多方面の活動を、「8本足」の軟体動物に喩えているのでしょうか。
指揮者のファン・レインは、かつてはフリーダー・ベルニウス指揮のシュトゥットガルト室内合唱団のメンバーだったこともあるまだ若い指揮者ですが、この世代の注目株、合唱団だけではなく、2012年にはピリオド・オーケストラも設立していますし、オペラの分野でも活躍していて、それこそ「蛸」のような多岐にわたる仕事で注目を集めています。
この合唱団のサイトではいくつかの音源が聴けるようにはなっていました。その中に、大好きなマーラーの「Ich bin der Welt abhanden gekommen」をクリトゥス・ゴットヴァルトが無伴奏の合唱に編曲したものがあったので聴いてみたら、なぜか聴こえてきたのは同じ編曲者による「Die zwei blauen Augen」という、「交響曲第1番」の中にも使われている歌の方でした。何とアバウトなサイト運営、と思ったのですが、その演奏はかなりショッキングなものでした。ゴットヴァルトの編曲というのは、あのリゲティの「Lux aeterna」という、16の独立した声部を持つ作品のようなクラスター風のサウンドを再現しようというコンセプトで作られていて、普通はかなり大人数で歌われています。それを、この音源ではそれぞれのパートを一人ずつで歌っていたのです。そんなことが可能だったんですね。とてつもない合唱団が出てきたものです。ここでの合唱団のクレジットは「オクトパス・ゾリステン」でした。「室内合唱団」より小さなユニットもあったのですね。
2015年の2月に録音されたばかりのこのCDでは、「鳥と楽園」というタイトルで、ジャケットには15人の作曲家の名前が書いてありました。その一番上にはモーリス・ラヴェルの名前がありますから、このタイトルはここで歌われている彼の「Trois chansons」の2曲目「Trois beaux oiseaux du Paradis」から取られていることが分かります。そのような、「鳥」に関係のある小さな合唱曲が15曲、この中では演奏されているということです(インレイでは16人の名前がありました。ジャケットで抜けていたのはジェラルド・フィンジ、ウェブサイト同様、このスタッフにはちょっと抜けたところがあります)。
最初に聴こえてきたその「3羽の楽園の美しい鳥たち」も、さっきのマーラーのような衝撃が与えられるものでした。まずは、録音が非常に素晴らしく、そのピュアなサウンドはSACDだと言われても信じてしまうほどのものでした。合唱はとても磨き抜かれた響きで各パートがきっちりと際立って聴こえてきます。そこに入っているソリストが、やはり芯のある、それでいて合唱ともよく調和しているクオリティの高さで迫ります。この曲の持つメッセージが、そこからは的確に伝わってくるという、とても強靭な「力」を感じる演奏です。
そんな、それぞれに確実にインパクトが感じられる曲があと15曲も続きます。たとえばメンデルスゾーンの「森の小鳥」でさえ、そのインパクトは際立っています。

CD Artwork © Quintessence BVBA
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by jurassic_oyaji | 2016-03-03 23:16 | 現代音楽 | Comments(0)