おやぢの部屋2
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Respighi/Antiche Danze ed Arie ・ Gli Uccelli
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Henry Raudales/
Münchner Rundfunkorchester
CPO/777 233-2(hybrid SACD)




このレーベルでは思い出したようにSACDでのアイテムがリリースされるので、油断が出来ません。基本的に個々の録音はクオリティが高く、ノーマルCDでもほとんど不満は感じられないのですが、やはりSACDは別格です。値段もほんの少し高いだけですから、出来るなら全部SACDにしてほしいものです。
このSACDも、音の良さを期待して入手しました。なんたってオットリーノ・レスピーギですから音のいいのは間違いありませんからね。そして、ここでミュンヘン放送管弦楽団の指揮をしている人が、全く聞いたことのない名前なのにとてもセンスの良い音楽を聴かせてくれていたので、俄然興味が湧いてきました。
ヘンリー・ラウダレスという人は、名前もラテン系ですし、写真で見ると顔立ちもそんな感じですが、確かにグァテマラで生まれた方でした。小さいころから父親(ジノ・フランチェスカッティ、ヘンリク・シェリング、エーリッヒ・クライバーなどに師事したヴァイオリニスト、ピアニスト、指揮者)にヴァイオリンの手ほどきを受け、7歳でパガニーニを演奏してコンサート・デビューしたという「神童」です。それが、あのメニューインの目に留まり、ロンドンに留学、さらにベルギーのアントワープなどでも学んで、ヴァイオリニストとして世界中で活躍するようになります(現在はベルギー国籍)。
ソリストであると同時に、彼は多くのオーケストラのコンサートマスターを務め、今までにベルギー、オランダ、イタリア、ドイツの12のオーケストラのコンサートマスターを歴任しているそうです。2001年にはミュンヘン放送管弦楽団のコンサートマスターに就任、現在もそのポストにあります。さらに、彼は指揮者としてのキャリアも築き上げつつあって、このミュンヘン放送管とは年に2回指揮台に立つようになっています。
彼が指揮するレスピーギは、まず「リュートのための古風な舞曲とアリア」の全3曲です。この中では弦楽器だけで演奏される「第3番」の人気が突出していますが、「第1番」と「第2番」には管楽器も加わって、レスピーギの色彩的なオーケストレーションを楽しむことが出来ます。さらに、この2曲にはチェンバロまでが入っていて、原曲とされる17世紀の音楽の雰囲気も伝えてくれています。ただ、レスピーギがこれらの曲を作ったころは、それらの「原曲」に対するアプローチは今とはかなり異なっていたはずですから、今の時代にそのスコアをそのまま再現すると妙にグロテスクなものになりかねません。もちろん、チェンバロだって当時は今のような楽器は存在していませんでしたから、あくまで念頭にあったのはモダンチェンバロの響きだったはずですし。
そのような、ちょっと重苦しいオーケストレーションのはずなのに、ここで聴くラウダレスの演奏はとても軽やかに感じられます。おそらく、彼や、演奏しているオーケストラのメンバーの中では、確実に「原曲」の本来のテイストを感じられる人が増えて、その感覚をもとにレスピーギの響きを修正するような意識が働いているのではないでしょうか。この素晴らしい録音で聴く限り、使われているチェンバロはヒストリカルのような気がします。
「第3番」の中でもとくに有名な3曲目の「シチリアーナ」は、かつてはゆったりとした重々しい演奏が幅をきかせていましたが、元のリュート・ソロの演奏が浸透してくるともっとサラッとしたものに変わっていきます。これもそんな、とても軽やかでリュートの感じが良く伝わってくる今の時代ならではの演奏です。
もう一つの組曲は「鳥」です。こちらではチェンバロは使われていないため、それほど昔の曲を意識しないで自由に編曲を行ったような趣があります。なんと言っても4曲目の「夜鶯」の静謐な佇まいには惹かれますが、このフルート・ソロはあまりに及び腰で魅力が感じられません。録音も、前の2つの組曲とは時期が違うようで、ほんの少し精彩を欠いています。

SACD Artwork © Classic Produktion Osnabrück
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by jurassic_oyaji | 2016-03-11 20:36 | オーケストラ | Comments(0)