おやぢの部屋2
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MOZART/Gran Partita
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Trever Pinnock/
Royal Academy of Music Soloists Ensemble
LINN/CKD 516(hybrid SACD)




以前もこちらの新しいアルバムにチェンバロ奏者として参加していたトレヴァー・ピノックは1946年生まれ、アーリー・ミュージック界の第3世代(?)として、1972年に創設した「イングリッシュ・コンサート」を率いて、華々しい活躍をしていました。CRDやARCHIVから多くのアルバムを出していましたね。
そのイングリッシュ・コンサートの指揮者としてのポストも、2003年には他の人に譲り、現在ではライプツィヒ・ゲヴァントハウスやロイヤル・コンセルトヘボウといったメジャーなモダン・オーケストラの客演指揮者として、世界中で活躍しています。
そして、最近はこのLINNレーベルで、ロンドンに1822年に作られたという由緒ある音楽学校、「王立音楽アカデミー」のアンサンブルとの共演を行っています。このアカデミーからはクラシックだけではなく、エルトン・ジョンやリック・ウェイクマンといった「ロック」畑の逸材も巣立っているというあたりが、ユニークですね。
ピノックとこのアンサンブルがこれまでにLINNで作ったアルバムは全部で3枚、それらはいずれもシェーンベルクが主宰していた「私的演奏協会」で演奏されていたマーラーやブルックナーの交響曲などを室内楽に編曲したものが集められていました。しかし、4枚目となる本作では、ガラリと趣向を変えてモーツァルトとハイドンの室内楽です。ま、ハイドンの場合はある意味「編曲」ですから、共通項がないわけではありませんが。
モーツァルトは、管楽器だけを13本使った、「グラン・パルティータ」と呼ばれるセレナーデです。正確には、最低音にはコントラバスが使われるので管楽器は「12本」になるのですが、慣例としてコントラバスの代わりにコントラファゴットが使われることがありますから、その場合は間違いなく「13管楽器」と呼ぶことが出来ます。今回の演奏も、この編成です。つまり、ピノックの場合はアーリー・ミュージックを演奏する際のスタンスが、それほど厳格ではないような気がします。演奏面でも、例えば1曲目の序奏での付点音符の扱いなどは、「厳格」な人だと「付点八分音符+十六分音符」で書かれている楽譜は当時の習慣に従って「複付点八分音符+三十二分音符」で演奏するものですが、彼は普通に楽譜通りに吹かせていますからね。
ただ、楽譜はあくまで最新の校訂版、新モーツァルト全集が使われているようです。とは言っても、3曲目のアダージョで20小節目の1番バセット・ホルンのナチュラルを外していたりしますから、やはり「厳格」さは薄いようです。
楽譜に関してはそんなユルいところもありますが、演奏そのものはとても生命力にあふれたものです。特に、テンポがあり得ないほど速いのはかなりスリリング、あまりに早いものですから、1曲目や最後の曲などはアンサンブルに破綻が出てますね。でも、5曲目の「ロマンツァ」は、若い感性がとても瑞々しく、心が洗われるようです。
カップリングのハイドンは、「ノットゥルノ第8番」が演奏されています。この、全部で8曲から成るノットゥルノ集は、1788年から1790年にかけて、当時のナポリ国王であったフェルナンド4世のために作られたものです。そもそもは、国王が愛好した珍しい楽器「リラ・オルガニザータ」を含むアンサンブルで演奏するために作られたもので、その「リラ」が2台に、クラリネット、ヴィオラ、ホルンをそれぞれ2本に低音楽器という、中低音を強調した暗めのサウンドによる編成でした。それを、1791年の最初のロンドン訪問の際に、もっと明るい音色がふさわしいと、リラとクラリネットのパートをヴァイオリン2本とフルートとオーボエに置き換えて編曲を行いました。それがここでは演奏されています。
じつは、こちらでやはり「ノットゥルノ」をご紹介していましたが、そこでは「3番」はオリジナルの編成なのに、なぜかこの「8番」の方はこの編曲版になっとるの

SACD Artwork © Linn Records
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by jurassic_oyaji | 2016-04-14 23:02 | 室内楽 | Comments(0)