おやぢの部屋2
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Rheinmädchen
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Raphaël Pichon/
Pygmalion
HARMONIA MUNDI/HMC 902239




最近のこのレーベルのCDには、ハイレゾ音源がダウンロードできるようなヴァウチャーが入っています。どうやらもうごく限られたアイテム以外はSACDではなくCDに移行しようという意向が固まったかのように、このところSACDでのリリースが激減していることと関係しているのでしょうね。パッケージはCDだけど、ご希望のお客様にはハイレゾもご提供できますよ、という「暖かい」配慮なのでしょう。確かに、スタート当初は44.1/24という中途半端なフォーマットだったものが、今ではしっかり96/24というSACD並みのクオリティが確保できるものになっていますから、これはありがたいものです。なにしろ、今のハイレゾ音源の販売体制と言ったら、音源のデータだけ送ればそれでいいだろうという杜撰極まりないものですから、しっかり従来のパッケージがそのまま保障されたうえで、音だけはハイレゾが入手できるというこのシステムは大歓迎です。
入手方法もいたって簡単、ヴァウチャーに示されたサイトに行って、カードに書かれたパスコードを入れるだけでOK、会員登録などの面倒くさい手続きは一切要りません。もちろん無料です。オリジナルのCDがリリースされてから2年間はダウンロードが可能ですし、同じパスコードが3回までは使えますからね。
「ラインの乙女」というタイトルのこのアルバムは、最近何かと気になるラファエル・ピション率いる「ピグマリオン」の演奏ですが、ここでは合唱は女声だけが歌っています。「乙女」ですからね。伴奏も、ピアノは使われずホルン4本、コントラバス2本、そしてハープが用意されています。このフル編成で最初に聴こえてきたのが、ワーグナーの「ラインの黄金」というよりは4部作「ニーベルンクの指環」全体の前奏曲でした。編曲者のクレジットはありませんが、原曲の混沌感を見事に表現したものになっています。特に、ハープの低音が不気味さを演出しています。もちろん、オリジナルには合唱は入っていませんが、最初に聴こえるか聴こえないかという感じでうっすらと歌われているものが、次第に盛り上がってくるのは圧巻です。
ワーグナーの「指輪」はそのあとも登場します。「ジークフリート」からは、第2幕第2場でジークフリートが角笛を吹くシーンで演奏されるホルンのソロ、もちろん、それはホルン1本だけで、合唱は加わりません。さらに「神々の黄昏」では、第3幕の第2場と第3場をつなぐ、いわゆる「葬送行進曲」がホルン4本だけで演奏されます。これらのホルンは、全部で6種類の19世紀から20世紀初頭にかけて作られた楽器が用いられています。合唱のアルバムだと思っていたら、楽器でもしっかり「ピリオド」にこだわっていたのですね。そして、ワーグナーの「指環」からはもう1曲、同じ「神々の黄昏」の第3幕冒頭の前奏曲まで遡ります。ジークフリートのホルンに続いてラインの乙女の合唱がホルン2本とハープに伴われた編曲で演奏され、その最後に、またホルンのソロでその曲が終わったかと思うと、それがなんと次のブラームスの「4つの歌」のホルンによるイントロにそのまま続くという、憎すぎる演出が施されています。
そんな手の込んだ骨組みの中で、メインであるシューベルト、シューマン、そしてブラームスの女声合唱が歌われます。中にはリートを合唱に編曲したものも含まれていて、興味は尽きません。そんな中で、ブラームスの「女声合唱のためのカノンによる民謡集」(ふつうは「13のカノン」と呼ばれていますが、このCDでの表記はこうなってます)の最後の曲「Einförmig ist der Liebe Gram」は、シューベルトの「冬の旅」の最後の曲「Der Leiermann」と全く同じ曲なんですね。あの曲はずっとシューベルトのオリジナルだと思っていましたが、本当は「民謡」だったのでしょうか。あるいは、ブラームスがシューベルトの曲を「民謡」と解釈して引用したとか。
女声合唱のまろやかさと、他の楽器の肌触り、それらがきちんと聴こえてくるのは、やはりCDではなくハイレゾの方でした。

CD Artwork © Harmonia Mundi Musique S.A.S.
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by jurassic_oyaji | 2016-04-26 21:01 | 合唱 | Comments(0)