おやぢの部屋2
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BACH/Johannes-Passion
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Julian Prégardien(Ev), Tareq Mazmi(Je)
Christina Landshamer(Sop), Ulrike Malotta(Alt)
Tilman Lichdi(Ten), Krešimir Stražanac(Bas)
Peter Diykstra/
Chor des Bayerischen Runfunks, Concerto Köln
BR/900909




ペーター・ダイクストラとバイエルン放送合唱団は、バッハの大規模な宗教曲のうちすでに「マタイ受難曲」と「クリスマス・オラトリオ」を録音しています。そして今回は「ヨハネ受難曲」の新しい録音ですから、これで「ロ短調ミサ」を録音してくれれば、今までのバッハの大家と言われていた偉大な指揮者たちと肩を並べることになります。しかし、そのような精神的にストレスの多い仕事を続けていると、やはり頭髪への影響も並々ならぬものとなっているのでしょうね。ほんとに、彼の額がひたいに(次第に)上に広がっていく早さには、驚くばかりです。彼の師であるエリクソンと同じ風貌になるのには、そんなに時間は要らないことでしょう。
この録音は、今までと同じミュンヘンのヘルクレスザールで2015年の3月に行われたコンサートでライブ収録されたものです。しかし、ブックレットを見てみると、そのホールではなく別の教会で演奏されている写真が載っています。それは、単に会場が異なるという以上に、オーケストラや合唱とソリスト、さらには指揮者の配置がとてもユニークになっていることに驚かされます。演奏家たちは指揮者を囲むように座っていて、指揮者はその真ん中に立っています。さらに、エヴァンゲリストが歌う場所が一段高くなった廊下のようになっていて、彼はその上を歩いて歌っているようなのですね。どのようなコンセプトでこんなパフォーマンスが行われていたのか、知りたいものです。今までだと、CDだけではなくDVDもリリースされていましたが、そちらの映像ではこの教会バージョンが使われていることを期待しましょう。
このような、いわば「メジャー」なリスナーをターゲットにしているアルバムだからでしょうか、この受難曲を演奏する時の一つの試金石となる「版」の選択も、特に目新しいことはやらずに一般的な新全集版が使われています。クレジットでも「出版社 ©ベーレンライター」という表記がありますし、一応その楽譜の素性についてのコメントもきちんとライナーノーツで述べられていますから、これは正しい姿勢です。少なくとも、先日のヤーコブス盤でのダウンロード・アイテムのような「偽装」とは無縁でしょう。
エヴァンゲリストは、このところすっかりこのロールが板についてきたプレガルディエン(もちろんユリアンの方)ですし、そのほかのソリストも若い人たちが揃っています。プレガルディエンの伸びのある軽めの声に合わせたように、それぞれが爽やか目の声でとてもすがすがしい歌を聴かせてくれています。特に、もう一人のテノール、アリア担当ティルマン・リヒディが、本当にリリカルな歌い方なのには癒されます。ただ、アルトのウルリケ・マロッタが同じように軽めなのは、さすがにやりすぎ。「Es ist vollbracht」では、やはりもっと深みのある声が欲しかったところです。
その、ヴィオラ・ダ・ガンバのオブリガートが付く30番のアリアでは、使われているベーレンライター版では中間部ではガンバはソリストとユニゾンになるはずなのに、ここでは通奏低音のパートが演奏されていました。実はこの部分は、なぜかこの版の元となった「1739/1749年版」の自筆稿「↓」とは違っていて、あえて1732年稿(第3稿)の形に変えられているのですね。

そこで、今確認してみたら、ここには「あるいは、通奏低音と同じように」という注釈がありました。

ダイクストラは、きちんと自筆稿まで参照していたのですね。
彼は、やはり合唱に関してはとても緻密なアプローチに徹しているようです。特に第2部になってからの群衆の合唱の劇的な振る舞いには、思わず興奮させられてしまいます。24番のバスのアリア「Eilt,
ihr angefochtnen Seelen」での合唱の合いの手の「wohin?」でも、途中のフェルマータをやめて「急ぐ」気持ちを抑えられないでいますし。
「おまけ」のCDに収められているレクチャーは、対訳がない限り全く何の意味もなしません。

CD Artwork © BRmedia Service GmbH
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by jurassic_oyaji | 2016-04-30 21:14 | 合唱 | Comments(0)