おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
HAYDN/Symphony No.101
c0039487_20540588.jpg











Robin Ticciati/
Scottish Chamber Orchestra
LINN/CKH 600(45rpm LP)




去年の8月に入手したこちらのSACDは、同時にLPもリリースされていました。それがただのLPではなく「45回転」でカットされたものでしたから、迷わず買っと、いや、買ってしまいました。
普通LPと言えば、33回転のアナログレコードのことです。45回転というのは、LPと同じころに誕生した「EP」という規格のアナログレコードの回転数です。アメリカのコロムビア(CBS)が開発したLPに対抗して、競争相手のヴィクター(RCA)が提案した方式で、LPは直径が12インチと大きかったものを7インチというサイズにしてコンパクトさを主張、そのままでは音質が劣るので、回転数を45回転に上げて「小さくても、良い音」を主張していました。その二つは、うまい具合にLPはアルバム、EPはシングルというように用途によって棲み分けがなされ、共倒れすることなくそれぞれに現在まで生き延びているのです。
LPは、確かに最外周ではEPよりも良い音ですが、内周に行くにしたがって冴えなくなってきます。

このように、LPの溝の内周部は、EP全体のゾーンにすっぽり入ってしまいますから、このあたりではEPの音の方がLPよりもずっと良くなっているはずです。そこで、LPの音質向上のために考えられたのが、この「45回転LP」です。

このように、どのレコードプレーヤーでもLPとEPが再生できるように、必ず回転数を選択できるようになっていますから、「互換性」に関しては何の問題もありません。そこで、まずフランスの「Quarante-cinq(45)」というレーベルが1962年ごろに世界で初めて45回転LPを発売し、それを追うようにして、オーディオ・ファンの間では有名な「Connoisseur Society」もこれを出しています。このあたりは、岡俊雄さんの著書「マイクログルーヴからデジタルへ(1981年ラジオ技術者)」を参照していますが、それによると、1966年になってやっとこのコニサー盤を入手した岡さんの許に、日本コロムビアの人が遊びに来てこのレコードを聴いたそうなのです。そして、数か月後の1967年の5月には、コロムビアから日本で初めて45回転LPが発売されることになります。その時の雑誌広告がこれです(クリックすると、PDFが見れます)。

これを見て、当然他の国内メーカーも45回転LPを発売するのですが、それは単なる一過性のブームで終わってしまったようですね。その後も散発的に音が売り物のレコードとして出ることはありましたが、やがてCDが現れると、LPそのものが作られなくなってしまいますから。
しかし、そのCDに凋落の影が見えるころになって、このフォーマットは新たなハイレゾ・ツールとして甦りました。ただ、すでにジャズではかなりの数の「45回転」がリリースされていますが、クラシックに関してはまだ数はきわめて少ないのが現状です。そのうちの貴重な1枚が、これだったのです。さっそく今のレコードプレーヤーにとっては初めてとなる「45回転」モードにして再生を行ってみると、これはとてつもない音でした。ノン・ビブラートのヴァイオリンの生々しさ、ピリオド楽器による金管やティンパニの深みのある肌触り、さらには低音の豊かさ、それらが一体となって、それこそ一人一人の奏者の息遣いまでわかるほどのリアルさで迫ってくるのです。これは、先ほどのSACDを聴き比べるまでもなく、格の違う音です。そのあとで聴いたSACDの音の、なんとしょぼかったこと。
つまり、2.8DSD というSACDのフォーマット自体が物足りないものであることが明らかになってしまったのではないか、と思えるほどの、この45回転LPの音のすごさでした。
しかし、このフォーマットにも難点はあります。それは、収録時間が短いこと、そして、価格が高すぎるということです。SACDでは3曲聴けた交響曲が、ここには1曲しか入っていないのに価格はSACDの約2倍、つまり、1曲あたりの価格は6倍になっているのですからね。それともう一つ、「45回転LP」で検索するとたぶん最初に出てくるこんな間抜けなことが起こる危険性もありますから、ご注意ください。

LP Artwork © Linn Records
[PR]
by jurassic_oyaji | 2016-06-02 20:56 | オーケストラ | Comments(0)