おやぢの部屋2
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SIBELIUS/Symphonie Nr.2
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Mariss Jansons/
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
BR/900144




先日、惜しまれて亡くなったニコラウス・アーノンクールを追悼する番組が放映されていました。そこには、この巨匠がオーケストラとともに2006年に来日した時の2種類のライブ映像が押し込まれていましたね。最初はウィーン・フィルとサントリー・ホール、もう一つがウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとの、NHKホールでの演奏会です。
それを続けて聴いてみるとびっくりするぐらい音が違っているんですね。もちろん、それぞれに使われている楽器も、そして楽器編成も全く違っているので、そもそもの音が違うのは当たり前のことなのですが、それと同時にやはりホールの音がまるで違っているのが、大きな要因だったのでしょう。
昨年の「シベリウス・イヤー」に、ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団がミュンヘンで行った何回かのシベリウスのプログラムによるコンサートの中から、超有名な「フィンランディア」、「カレリア」組曲、そして「交響曲第2番」を収録したこのCDでは、前半はガスタイク・フィルハーモニー、後半はヘルクレスザールと、録音された会場が異なっていますから、やはりホールの響きを比較することができるはずです。
「フィンランディア」では、冒頭の金管のアンサンブルが、たっぷりとした響きを伴って聴こえてきます。それはとても余裕を持って広い空間に響き渡っているような印象を受けます。弦楽器が入ってくると、その音もとてもしっとり聴こえてきて、これがノーマルCDであることを忘れそうになるほどです。ヤンソンスは、ライブならではのノリの良さで、繰り返しの部分では一層のシフト・アップを行ってグイグイ盛り上げるという分かりやすさです。
「カレリア」では、アップテンポの1曲目「間奏曲」と3曲目「行進曲風に」に挟まれた、2曲目のその名も「バラード」という曲が、しっとりとした情感を漂わせていてとても魅力的に仕上がっています。そして、真ん中あたり(スコアの「C」近辺↓)の弦楽器だけのコラールが始まるところで、ヤンソンスはちょっとしたサプライズを用意していました。

その前までは、音楽は「morendo」という表情記号に従って消え入るように音を小さくしていくのですが、「C」以降には音量の指定が何もありません。ですから、その指定に忠実に、ここからを本当に小さく演奏している指揮者(オスモ・ヴァンスカなど)もいますが、大抵の場合は指揮者の裁量でここではいくらか大きな音でたっぷりと演奏しています。ところが、ヤンソンスは最初は大きな音で堂々と演奏したのち、繰り返しになったら今度は超ピアニシモになっているのです。
「交響曲第2番」からヘルクレスザールになると、やはりかなり音が変わっていました。このシューボックス・タイプのホールならではの豊かな残響のために、オケの音がほんの少し甘くなってしまっているんですね。その結果、弦楽器からは輝きが失われてしまっています。ただ、これはおそらくSACDで聴けばもっと繊細な音として聴こえるはずなのですけどね。
第2楽章などは本当にたっぷりとした演奏、これこそはぜひともSACDで聴いて豊かなサウンドを味わいたかったものです。第3楽章は落ち着いたテンポでとても丁寧な演奏、よくある技巧だけを競うようなものとは無縁です。そして、そこから終楽章になだれ込む瞬間は、まさに大家の貫録、たっぷりと「泣き」を入れて興奮を誘います。久しぶりに、スカッとさせられる演奏を聴いた思いです。
全ての曲で、終わってからの拍手までがカットされずにそのまま収録されています。それを聴いていると、日本のようなまるで一番乗りを競争しているような子供じみたみっともない拍手では全然なくて、あくまで一旦音がなくなってからの控えめの拍手に続いて、それが次第に盛り上がってくる、という「大人の」拍手が沸き起こっているのが分かります。もしかしたら、この拍手が最も感動的だったかもしれません。

CD Artwork © BRmedia Service GmbH
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by jurassic_oyaji | 2016-06-04 20:43 | オーケストラ | Comments(0)