おやぢの部屋2
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宮城野通もまだ出来てませんでした
 この間の日曜日の「クラシック音楽館」の最後の方で、仙台フィルの活動のドキュメンタリーが放送されていましたね。2011年のあの大震災の影響をもろに受けた仙台市にあるプロのオーケストラとして、仕事場であるコンサートホールは完全に閉鎖され、もちろんクラシックのコンサートなどはそもそも全く期待されていないという状況にあって、彼らがどのようなことを考え、どのような活動を行っていたか、という記録です。この「復興支援コンサート」については、リアルタイムに情報が入ってきましたから、彼らがそのようなことを非常に熱心に行っていたということは知っていました。しかし、実際にその映像をきちんと見たのは、これが初めてのような気がします。
 そんな貴重な映像の最初のものは、そもそもの始まりだった「見瑞寺」でのコンサートです。佐藤寿一さんの指揮で行われたこのコンサートで演奏されていたバーバーの「アダージョ」や、菅英三子さんのソロによるバッハ/グノーの「アヴェ・マリア」など、おそらくここでのハイライトといえる部分をたっぷり聴かせてくれた上で、聴衆の涙ぐむ姿を丁寧に映していた映像は、まさに感動的でした。
 ただ、私にとっては、この「見瑞寺」という場所が、かなり思い入れがあるものですから、それとは別の意味での感慨がありましたね。この番組の中では全く触れられてはいませんでしたが、このお寺は仙台フィルが発足した時、まだ「宮城フィル」という名前だった頃の指揮者を務めていた(のちに理事となります)方が住職だったところです。それで、まだ私がフルートを本格的に始めて間もないころ、職場つながりでこの方から「吹きに来てみない?」と誘われて、ちょっと行ってみたのが彼らがその頃練習場に使っていたこの見瑞寺だったのです。「お寺でオーケストラが練習」などというと、まるで東昌寺みたいに畳敷きの大広間の襖を取っ払って、みたいな印象がありますが、こちらのお寺はそんなのではなくちゃんとした床がある会場がありました。その住職さんの奥様がダンサーで、境内にダンススタジオをお持ちになっていたのですよ。私がそこに行った時には、別の部屋からパイプ椅子やなんかを運んできて、セッティングをしていましたね。この時期は、まさに宮城フィルがプロとして再スタートする直前のことだったので、フルートにもちゃんとしたプロの奏者が入ってきて、私はすぐにお払い箱になりましたね。まあ、そこで2,3回練習に加わっただけで、とてもこれではオーケストラはやっていけないとはっきり分かったので、そのあと、ちゃんとした先生について一から勉強し直すことになるのですが。
 この番組の中で、仙台フィルの団員の方々がインタビューに答えて震災当時のことを語っていたことは、同じオーケストラをやっているものとして、私たちにも共通したものがあるように思えました。しかし、決定的に違っていたこともありました。それは、彼らはこの震災で「オーケストラがつぶれるのではないか」と語っていたことです。考えてみたら、ニューフィルの人たちで、そんなことを思っていた人なんかいなかったのではないような気がします。あくまで趣味として本業の合間を縫って活動しているだけのことですから、そもそも「つぶれる」などという発想は湧いてきませんでしたね。まあ、いろいろ困難な状況にあって、多少参加者は減ったりすることはあっても、オーケストラ自体は当面は演奏会を開くことは出来なくても、いずれはまた再開できるだろうと思っていたのではないでしょうか。
 しかし、オーケストラという「職業」は、確かに他の確実に「世の中の役に立つ」職業とは違って、こんな状況では存続する意味すらもなくなってしまうものなのかもしれません。そのような危惧は、プロだからこそ抱くものなのでしょう。そんな中で、自らの職業の社会的な意味を問い直し、その答えを求めて果敢にその社会に働きかける、そんな、今まで誰も向き合うことのなかった問題に真摯に挑んでいたプロの音楽家たちの姿が、そこにはありました。
 最後に、次週の予告がありましたね。それは、そんな仙台フィルが、これまでの各方面からの支援のお返し、という意味で開催した東京でのコンサートのライブ。なぜか、合唱で私も参加していましたから、画面のほんの片隅には出てくるかもしれませんよ。おそらく、ベルリオーズの「レリオ」をNHKが放送するなんて、初めてのことなのではないでしょうか。今度の日曜日の夜9時から、合唱の出番は後半です。
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by jurassic_oyaji | 2016-07-20 22:13 | 禁断 | Comments(0)