おやぢの部屋2
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ja, vi elsker
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Tone Bianca Sparre Dahl/
Schola Cantorum
Ingar Bergby/
Forsvarets stabsmusikkorps
2L/2L-104-SABD(hybrid SACD, BD-A)




少し前に出たアルバムですが、とても興味のある内容なので、取り上げてみました。これがリリースされたのは2年前の2014年、その時は、このレーベルのあるノルウェーでは憲法制定200年をお祝いする行事で賑わっていたのだそうです。1814年5月18日に制定された憲法によって、ノルウェーは民主国家としての歩みを始めたのでした。魚料理がおいしいですよ(それは「民宿国家」)。
それにしても「200年」というのはとてつもない長さです。アメリカ合衆国憲法の「230年」には負けますが、ヨーロッパでは最古の成文憲法なのだそうです。もちろん、この間には何度も(400回とも言われています)改正が行われて、現在の形になったのだそうですが、最初に出来たときの理念が、その改正によって失われることは決してありませんでした。ノルウェーの国民は皆この憲法を愛していて、毎年その制定の日には国中がこぞってお祝いに参加しているのだそうです。
これは、翻ってたった70年しか経っていない「日本国憲法」の扱われ方と比べてみると、なんだかとてもうらやましいような気になってきます。「憲法記念日」という名前の祝日にはその憲法に反対する人たちが集まって気勢を挙げたりしていますし、その音頭を取っているのが、政権与党なんですからね。
以前、この国の機関に属する団体の音楽隊の入学要綱を見たことがありますが、そこには受験資格として「日本国憲法を遵守する者」という項目がありました。これだけ見ると、日本国憲法を遵守しないどころか、それを根幹から改正(いや、改悪)しようとしている人には、この音楽隊に入る資格がないということになります。つまり、日本人としての資格がないものとみなされるのでしょう。この国の政権は、そんな人たちの手にゆだねられているのですよ。そんな中では、憲法記念日を盛大にお祝いしようなどという機運が盛り上がるわけがありません。
ノルウェーの人たちは違います。このレーベルのスタッフも、おそらく子供のころからそのような自国の憲法に対しての愛着を持っていたのでしょう。それが200周年という晴れがましい記念日を迎えるということになれば、心の底からそれをお祝いしようという気持ちになるのは当然です。いつもは、なんともマニアックでとっつきにくいアルバムを作っているモーテン・リンドベリは、ここではそんなポリシーをかなぐり捨てて、誰でもいとも気安く共感できるような素敵なアルバムを届けてくれました。
まず、ここでは野外で演奏されることを念頭に置いて吹奏楽団がメインを務めています。まるでハリウッド映画のイントロのような派手なファンファーレに続いて合唱が歌い出したのは、「God Save the Queen」と全く同じメロディの曲でした。イギリスの国歌として広く知られていますが、そのメロディ自体は17世紀頃に作られた(作曲者不詳)のだそうですね。ノルウェーでも、これは「国王の歌」として親しまれています。
その後は、ほとんど聴いたことはありませんが、とてもキャッチーな行進曲系の曲が続きます。演奏している吹奏楽団は一応「軍楽隊」ということですが、かなりのハイレベル(もちろん、厳格な入団試験があるのでしょうね。そこには「憲法を遵守」する人だけが入れるのでしょう)、その辺の「ブラスバンド」のような荒っぽさは皆無です。と、突然聴いたことのある曲が始まったと思ったら、それはグリーグの「十字軍の騎士シーグル」からの「忠誠行進曲」でした。4本のチェロで演奏されるはずのテーマがサックスで吹かれているのがお茶目ですね。なんだか、全く別の曲みたいに聴こえます。
最後はもちろんノルウェー国歌「われらこの国を愛すJa, vi elsker dette landet」で締めくくられます。わが国では、「国歌」さえも偉い人に強制されて無理やり歌わされるものになってしまいましたが、こちらはそんなことはありません。ノルウェー人のように、自然に「国を愛せる」ようになりたいものです。

SACD & BD Artwork © Lindberg Lyd AS
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by jurassic_oyaji | 2016-08-04 23:07 | Comments(0)