おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
VERDI/Requiem
c0039487_22325423.jpg
Herva Nelli(Sop), Fedora Barbieri(MS)
Giuseppe di Stefano(Ten), Cesare Siepi(Bas)
Arturo Toscanini/
The Robert Shaw Chorus(by Robert Shaw)
NBC Symphony Orchestra
MEMORIES/MR2482




ヴェルディの「レクイエム」では極めつけの名盤と言われてきた、1951年1月27日にカーネギーホールで行われたNBCの公開録音によるトスカニーニ指揮のNBC交響楽団の録音は、本来はラジオ放送のためのものでした。そこでNBCによって設置されたマイクから独自に録音を行ったRCAは、リハーサルと本番の演奏から編集をして、レコードとしてリリースします。それは、全世界でリリースされましたが、今ではもちろんCDによっても何種類かのものが発売されています。さらに、わざわざイギリスでプレスされたLPを使って板起こしを行い、CD化されたものも、日本で作られていたりします。それを、以前こちらで聴いていましたね。
トスカニーニの演奏は、最晩年の1954年ごろになると最初からステレオで録音されたものも出てきます。ただ、この「レクイエム」のころはまだそんなことはとても無理な時代でしたから、これは当然モノーラルで録音されたものです。
それが、突然こんなヒストリカルのレーベルから、この有名な録音の「World Premire Stereo Recording」というものがリリースされました。しかし、このCDから得られる情報は、そのクレジットが黄色い文字でレーベルのマークの前に横たわっているだけで、それ以外のことは何も書いてありません。

ところが、なぜかこのCDを販売している日本の代理店が作った「帯」には、「偶然にもマイクが二か所に同時に立っていたので、それを合成してステレオ録音が出来上がった」というようなことが書かれています。レーベルが公開していない情報を、この代理店がなぜ入手できたのか、という点で、まずこのコメントは信用する気にはなれませんが、それ以前に、全く別のマイクで、別のレコーダーに録音されたものを使って録音されたもので「ステレオ録音」を実現させるなんてことが、いかに技術が進歩したからといっても可能だとは到底思えないのですけどね。
逆に今の時代、かつてのモノーラルの録音をステレオに作り直すなんてことは、とても簡単なのではないでしょうか。いや、現実に、かなり昔からそういう技術はありましたからね。EMIの「ブライトクランク」などはかなり良くできた「疑似ステレオ」だったはず、それは、今のテクノロジーをもってすれば、さらに「本物らしい」「疑似ステレオ」を作ることなど、わけもないはずです。
そんな、最初から疑いの目をもって聴くというのは良くないことかもしれませんが、なにしろこの業界はこんなふうにあてにならないことばかりですからそうせざるを得ません。この「レクイエム」、オリジナルに比べるととても耳あたりが良くなっていて、確かに楽器群やソリストの定位もはっきりしていますから、リアル・ステレオのように聴こえますが、逆にその定位がはっきりしすぎているのが怪しいんですね。一番よく分かるのは、「Dies irae」のバスドラム。これが、はっきり右の端から聴こえてきます。こういう音場にするためには、ほとんどバスドラムだけで1本マイクを使う必要があるはずです。「偶然同時に立っていた」マイクが、バスドラの真ん前にあったなんてありえません。オリジナルでも、この楽器の音は際立っていますから、これだけを抽出して右チャンネルに振り分けるのはとても簡単だったのではないでしょうか。
それと、全体的に低音がオリジナルよりも大幅に減衰しています。これは、もしかしたら楽器を振り分ける際の位相がうまく合わなくて、低音が打ち消しあってしまった結果なのではないでしょうか。
いずれにしても、レーベルはこの録音の出自について、自ら説明を行う責任があるはずです。絶対に誰にも信用されないようなデマで飾るのは最悪です。
最後の拍手だけは、なぜかモノーラルになっています。これは、この前で、「もう一つのマイク」の音がなくなっていたと思わせたい小細工にしか聴こえません。モラルを疑います。

追記1:
実は、このCDは、別の音源の海賊盤のようでした。オリジナルのテクニカル・ノーツが見つかりましたが、それによるときちんとしたものであるようですね。


追記2:
この「修復」を行った方は、過去にこんなところで有名になっていたそうです。だからと言って、彼の仕事を鵜呑みにすることはできません。

CD Artwork © Memories Excellence
[PR]
by jurassic_oyaji | 2016-08-11 22:36 | 合唱 | Comments(0)