おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
BARTÓK/Choral Works(1)
c0039487_20423283.jpg

Kristián Kocsis(Pf)
Zoltán Kocsis/
Hungarian National Choir(by Mátyás Antal)
Slovak Philharmonic Choir(by Jozef Chabroň)
HUNGAROTON/HSACD 32522(hybrid SACD)




2007年頃からリリースが始まった、HUNGAROTONレーベルの「バルトーク・ニュー・シリーズ」という、バルトークの作品全集は、おそらく全部で30枚ほどのSACD(一部はノーマルCD)で完結される予定で、現在進行中のプロジェクトです。そこでメインとなっているアーティストが、かつてはピアニスト、現在は指揮者として活躍しているゾルターン・コチシュです。チゲには欠かせません(それは「コチジャン」)。
彼は、音楽監督を務めているハンガリー国立フィルと管弦楽曲や協奏曲などの録音を行うだけでなく、室内楽でもピアノ・パートに参加するなどと、ほとんど全ての作品に関与しているというほどの入れ込みようです。ただ、オーケストラ作品で最も有名な「管弦楽のための協奏曲」だけは、同じメンバーでこの企画が始まる前の2002年に録音してしまっているので、まだこのシリーズでの録音はありません。
ただ、ピアノ・ソロのための作品は、新たに録音したのではなく、コチシュがかつて、まだSACDが出来ていなかった頃にPHILIPSに録音していたものを、そのまま使っています。したがって、その分の何枚かだけは普通のCDでのリリースです。
今回は、「合唱作品」の「第1集」というものがリリースされました。それをやはりコチシュが指揮をしている、というのが面白いところです。実は、合唱曲に関しては「2集」の方がすでに2009年にリリースされていました。そちらは児童合唱のための作品を集めたもので、指揮はデーネシュ・サボーでした。
そんな、たった2枚のCDですべてが収まってしまうのが、バルトークの合唱作品です。同じ時代のハンガリーの作曲家コダーイに比べるとそれは何とも物足りない気がします。そもそも、バルトーク自身は合唱の経験はほとんど持っていない人でした。ですから、初期の作品は外部の団体からの依頼によって作られた、というケースがほとんどでした。それは、ハンガリー周辺諸国の民謡を素材にしたものでした。
しかし、「第2集」に入っている児童合唱のための「27の合唱曲」や、このアルバムの男声合唱曲「過ぎ去った時より」などの後期の作品はそのような依頼ではなく、コダーイの勧めに従ってテキストも自分で編集して自発的に作ったものです。
ここでは、2つの合唱団が登場しています。「4つのスロヴァキア民謡」と、「5つのスロヴァキア民謡」はスロヴァキア・フィルハーモニー合唱団、残りの曲はハンガリー国立合唱団が歌っています。混声合唱で歌われる「4つのスロヴァキア民謡」だけにはピアノ伴奏が付きますが、それはクリスティアーン・コチシュという人が弾いています。あいにく、この人は指揮のコチシュとは何の関係もない人のようです。なんでも、同じピアニストの日本人の奥さんと一緒に、仙台市に住んでいるのだとか。
そのピアノの前奏に続いて聴こえてきたスロヴァキアの合唱団は、しばらくぶりに味わう素朴なテイストを持っていました。とても上手、なにしろ、最初のソプラノのチューンは丸ごと終わるまでに完全にカンニング・ブレスで歌いきっていたのですからね。その上で、やはり北欧やイギリスとは全く異なる「泥臭さ」が満載なのですよ。それは、バルトークには絶対に欠かせないファクターでしょう。というか、この「ニュー・シリーズ」全体が、ことさらバルトークの「泥臭さ」を強調しているような演奏で統一されているのでは、と思えて仕方がありません。
他の曲を歌っているハンガリーの合唱団は、もう少し洗練された味がありますが、基本的な「泥臭さ」はやはり健在でした。特に、ハンガリーの音楽に特有な「タ・ター」というリズムは、やはりとても自然に歌われています。
男声合唱のための「4つの古いハンガリー民謡」は、そもそも1910年に作られ、それを1926年に改訂して出版したものですが、ここにはその両方が収録されています。その違いは、なかなか興味深いものがあります。

SACD Artwork © Fotexnet Kft
[PR]
by jurassic_oyaji | 2016-09-17 20:45 | 合唱 | Comments(0)