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MENDELSSOHN/Symphony No.1, No.4'Italian'
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John Eliot Gardiner/
London Symphony Orchestra
LSO LIVE/LSO0769(hybrid SACD, BD-A)




ロンドン交響楽団の自主レーベル「LSO LIVE」では、DECCAを離れて独立したニール・ハッチンソンやジョナサン・ストークスなどがエンジニアを務めていて、ハイレベルの録音を行っていることが売りになっています。しかも、かなり早い段階から録音フォーマットのクレジットが「DSD」と明記されていました。それが、2015年の録音分からは「DSD128fs」と、ひと品多い表記になりました。つまり、それまではSACDと同じフォーマットである「DSD64fs」だったものが、サンプリング周波数(fs)が倍の、より解像度を増したフォーマットを採用することになった、ということです。
今回のガーディナーとロンドン交響楽団のメンデルスゾーン・ツィクルスの3枚目、交響曲第1番と第4番「イタリア」では、それぞれ録音時期が違っていたために、2014年の「4番」は「DSD64fs」、2016年の「1番」は「DSD128fs」によって録音されていました。もちろん、SACDではどちらも64fsになってしまうので違いは分かりませんが、同梱のBD-Aは24/192というフォーマットですから、間違いなくSACDよりもハイスペックのはず、もしかしたらそこにトランスファーされたDSD128fs(5.6MHzDSDとも言う)とDSD64fs(2.8MHzDSD)との違いを実際に体験できるかもしれませんよ。
確かに、DSD64fsの「4番」では、SACDとBD-Aの違いはほとんどありませんでした。しかし、DSD128fs「1番」では聴いてすぐに分かってしまうほどの違いがあったのには、逆に驚いてしまいましたよ。ここでは、おそらくガット弦をノン・ビブラートで演奏しているのでしょうが、その生々しさがSACDとは全然違うんですよ。それと、やはり木管楽器の存在感ですね。最近の体験から、DSDは128fsになって初めて真価が発揮できるのでは、と思うようになっていましたが、やはり64fsと128fsの間には、このぐらいはっきり分かる違いがあったのでした。ですから、やはりSACDのフォーマットも最初から128fsにしておけばよかったんですよね。というより、SACDが出来た時には、CDと同じことでこれが最高のフォーマットだと思われていたのですから、仕方がないのかもしれませんが。
この演奏では、ガーディナーはどちらの交響曲にも普通に使われている楽譜以外のものを使っていると、輸入元のキング・インターナショナルのインフォにははっきり書いてありました。確かに、「1番」の第3楽章については、1829年にイギリスで演奏した時に、1824年に作っていた第3楽章の「メヌエット」の代わりに、1825年に作った「弦楽八重奏曲」からの「スケルツォ」にオーケストレーションを施したものを使ったという史実に則って、二通りの「第3楽章」を演奏しています(実際にライブで並べて演奏したのだそうです)。
しかし、「4番」に関しては、なんの変哲もない「現行版」、つまり「1833年版」で演奏しているのに、それがさっきのインフォではあたかも現行版とは別のものであるかのように書かれているのには絶句です。少なくとも、音を聴いた時点でその間違いに気づくはずですよ。なんと恥ずかしい。これは、ガーディナーが1998年にウィーン・フィルと録音したDG盤で、初出の国内盤に「茂木一衞」という人が書いたデタラメなライナーノーツを、2011年のリイシュー盤でもそのまま使いまわしているユニバーサルと同様の恥ずかしさです。
その、1998年に鳴り物入りで「改訂版」(もちろん、1833年以降に作られたもの)を「世界初録音」したガーディナーですが、それは単なる物珍しさで終わったようで、もはや何の関心もなくなっているのでしょう。
そんな些細なことではなく、少なめの弦楽器(ファースト・ヴァイオリンもセカンド・ヴァイオリンも10人)を対向配置にして、それをノン・ビブラートで弾かせるという、もう少し本質的な点に目を向けるようになったガーディナーの「成長」ぶりこそを、ここでは味わうべきでしょう。キング・インターナショナルのインフォは、それを削ぐことにしかなりません。すぐ、直しましょうね。

SACD & BD-A Artwork © London Symphony Orchestra

(11/8追記)
どうやら、キングインターナショナルはインフォを訂正したようですね。元の文はこちらのHMVのインフォに残っていますから、比較してみて下さい。

現時点でのインフォは、

キング
なお、ガーディナーは、ウィーン・フィルと、1997年に1833年版、そして98年には1834年版の第2楽章から第4楽章をセッション録音しましたが、今回は1833年版を採用しての演奏となっています。

HMV
なお、ガーディナーは、ウィーン・フィルと、1997年に現行版、そして98年には1833年版の第2楽章から第4楽章をセッション録音しましたが、今回は1833年版を採用しての演奏となっています。
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by jurassic_oyaji | 2016-10-01 23:02 | オーケストラ | Comments(0)