おやぢの部屋2
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ORGANISM
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Terje Winge(Org)
2l/2L-123-SABD(hybrid SACD, BD-A)




このレーベルでは、今まではもっぱら合唱曲を中心に楽しんできましたが、実はずっとオルガンの録音も聴いてみたいと思っていました。おそらく、これまでもオルガンを録音したものは出ていたのでしょうが、今回のような大々的に「オルガン」を前面に出したアルバムには始めて出会えました。ただ、この「ORGANISM」というタイトルを「ORGASM」と見間違えて、ちょっと恥ずかしくなってしまいましたけどね。
録音されたのは、ノルウェーの西側に面した島にある港町、オーレスンにある教会です。そこはオーレスンでは最初に建設されたという三角屋根の古い教会で、外側は石造りですが、内装は天井に木が使われていて、なかなか鄙びた雰囲気を醸し出しています。ここにはオルガンが2台設置されています。祭壇に向かって左側のバルコニーにあるのが、1909年に最初に作られたオルガン。これはそもそもはストップが22という小振りのクワイヤ・オルガンでした。
しかし、1940年に教会に多額の寄付があったため、祭壇の向かい側に新たにJ.H.ヨルゲンセンによって、70のストップと4段の手鍵盤を持つ大きなオルガンが設置されます。その時に、このクワイヤ・オルガンは、ファサード(外側のケースで、この楽器の場合は音の出ないパイプで飾られている)だけを残して、オルガン本体は売り払われてしまいました。いや、この大オルガン自体も、第二次世界大戦中は別の場所に保管されていたのだそうです。
戦争が終わった1945年に、大オルガンは元通りに教会の中に設置されます。その時点で、これはノルウェー国内では3番目に大きなオルガンでした。それからは、教会の礼拝の時に演奏されるだけではなく、ラジオ放送やレコードで多くの人に聴かれるようになりました。
さらに、2009年までに、オーストリアのリーガー社によって、大幅な修復が施されます。その際には、空っぽだったクワイヤ・オルガンにも新たにパイプとコンソールが設置され、この教会のオルガンは94ものストップ(パイプ数は8000本近く)を持つ、国内で最大の楽器の一つとなったのです。

写真で見る限り、この大オルガンのアクションはマニュアルではなく電気アクションのようですね。ですから、もしかしたらクワイヤ・オルガンとも連動して、同じコンソールで演奏できるのかもしれません。それを確認するためには、サラウンドで聴いてみればいいのでしょうが、あいにく2chの環境しかないので、それはかないません。オリジナルの録音は「9.1 Auro-3D」という、全部で10のチャンネルを使うもので、録音用のメインのアレイには下に5本、上に4本のマイクがそれぞれの方向を向いてセットされています。これで、「高さを立体的」に表現できるのだそうです。
でも、この録音の凄いところは、そんな大げさな再生装置ではなく、たった2chでも十分に距離感、そして「高さ」までが感じられてしまうということでしょうか。もちろん、それはほんの些細なこと、それよりも、今まで聴いてきたオルガンの録音ではほとんど体験できなかったことなのですが、オルガンが「機械」ではなく「楽器」として聴こえてきたのには、感動すら覚えてしまいました。もしかしたら、天井が木の板で出来ていることで過剰な反響がうまい具合に減っているのでしょうか、金属のパイプから生まれた音は、とてもまろやかにミックスされて耳に届いているようでした。
演奏されているのは、シェル・モルク・カールセン、トリグヴェ・マドセン、シェル・フレムという、いずれも1940年代に生まれたノルウェーの作曲家の作品です。それぞれに、オルガン音楽の伝統をしっかり受け継ぎながら、現代でも通用するような確かな語法を持ったものです。特に少ないストップでしっとりとした情感を歌い上げる部分が心に染みます。日本で学んだこともあるというフレムの作品で、お琴の調律法である「平調子」のスケールが用いられているのも、懐かしさを誘います。「フロム・ジャパン」ですね。

SACD & BD-A Artwork © Lindberg Lyd AS
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by jurassic_oyaji | 2016-10-16 00:39 | オルガン | Comments(0)