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REICH/Double Sextet, Radio Rewrite
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Brad Lubman/
Ensemble Signal
HARMONIA MUNDI/HMU 907671




以前、このレーベルで新譜CDを買ったら、同じ内容のハイレゾ音源が無料でダウンロードできるヴァウチャー券が付いてきました。これが、フィジカルなパッケージと配信音源が共存するためのあるべき姿なのでは、と思っていたので、今回の同じレーベルの新譜でもそのような「おまけ」が付いていることを期待して購入しました。しかし、そこには何もなかったので、ちょっとがっかりです。ただ、よく見てみるとこれは同じHARMONIA MUNDIでもアメリカで制作されたものでした。ご存知のように、このレーベルは同じアートワークで主にフランス制作のものとアメリカ制作のものの2種類が存在します(スペイン盤などもあります)。それは、品番の最初が「HMC」の場合はフランス盤、「HMU」の場合はアメリカ盤とわかるようになっています。それ以外にも、廉価盤やシリーズものでは、別のアルファベットが使われています。
ということで、今回のアメリカ盤では、そのようなサービスは行っていないということが分かりました。なんか、納得できませんが仕方がありません。
今年は10月3日にライヒが80歳を迎えた記念の年ということで、新しいアルバムが続々リリースされているようですが、これもそのうちの一つ。2007年の「Double Sextet」と、2013年の「Radio Rewrite」のカップリングです。トータルで40分しか収録されていませんが、本当はそのぐらいが1枚のアルバムとしてはちょうど良いサイズなのかもしれませんね。いずれも、今回が初録音というわけではなく、どちらもライヒの作品では定評のあるNONESUCHレーベルですでに録音されていました。「Double Sextet」は2009年に、この作品を委嘱し、初演を行ったeighth blackbirdによって、「Radio Rewrite」は、初演者とは別の団体によって、2014年に録音されています。
このレーベルでは、以前同じ演奏家によるライヒの「Music for 18 Musicians」も聴いていますが、これはその第2弾、というか、「Double Sextet」の方はその時と同じ2011年3月のセッションで録音されていたものでした。「Radio Rewrite」だけが、今年の1月に録音されています。
「Double Sextet」を委嘱された時には、ライヒはそのeighth blackbirdというアンサンブルのメンバーの編成(フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、打楽器)に忠実に合わせて、6つの楽器のための曲を作りましたが、それを演奏する際には、前もって自分たちが演奏した音源に合わせてライブで別のパートを演奏するというやり方で、12の楽器のための作品に仕上げてありました。今回は、それを実際に12人のメンバーを使って全てのパートを「生」で演奏するという形になっています。eighth blackbirdの「6人バージョン」もNMLで聴けますから、比較してみるのも一興でしょう。おそらく、「第2部」の、ちょっとできそこないのタンゴ、といった趣の曲では、同じ楽器でも音色や微妙な個性の違いぐらいは確認できるのではないでしょうか。
「Radio Rewrite」は、2013年に、委嘱を行ったロンドン・シンフォニエッタによって初演されておったのですが、その時に指揮をしたのが、このアルバムでの「アンサンブル・シグナル」の創設者で指揮者、ブラッド・ラブマンでした。これも、先ほどのNONESUCH盤との比較が可能です。こちらは、「元ネタ」のRadioheadからの引用に対するシンパシーが、微妙に異なって聴こえてくることがあるかもしれません。それは、初演者が必ずしも満足のいく結果を出せない場合もある、ということにもつながるのでしょうか。しかし、それは本質的な差異ではありません。
幸運にも、異なる演奏家による録音が多数存在するライヒの作品ですが、それらを比較してみても際立った違いが感じられないのは、そもそもライヒの作品には「表現」という要素が非常に希薄だからなのでしょう。というより、ある意味「表現」からは遠く離れたところから出発したのがライヒの音楽だったわけですが、それは同時に彼と、そして彼の技法の限界にもなっていたのかもしれません。

CD Artwork © harmonia mundi usa
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by jurassic_oyaji | 2016-10-25 23:53 | 現代音楽 | Comments(0)