おやぢの部屋2
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BERLIOZ/LAVANDIER/Symphonie fantastique
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You Jung Han(Vn)
Maxime Pascal/
Le Balcon
Académie de musique de rue Tonton a faim
ALPHA/ALPHA539




フランスの若い作曲家アルテュール・ラヴァンディエが、やはり若い指揮者マキシム・パスカルと一緒にアイディアを出し合って編曲を行い、パスカルのバンド、「ル・バルコン」が演奏したベルリオーズの「幻想交響曲」です。このバージョンは2013年の「ベルリオーズ音楽祭」で初演されましたが、その時ラヴァンディエは26歳、パスカルは28歳でした。さらに、ベルリオーズがこの曲を作ったのは27歳の時だったのだそうです。どうでもいいことですが。
それを、2016年の7月にスタジオで録音したものが、このCDです。その際に、普通のステレオ・ミックスと、バイノーラル・ミックスの2種類のバージョンが作られていますが、CDに収録されているのはステレオ・バージョン、そして、バイノーラル・バージョンはネットからダウンロードして入手できるように、個別のパスコードが同封されています。ただ、それはZIPファイルになっているのですが、何種類かの解凍ソフトを使って試みても、ジャケット画像とブックレットのPDFしか解凍されず、肝心の音声ファイルはエラーが出て開けませんでした。これも、どうでもいいことです。別に必要ありませんし(それは「バイアグラ」)。
パッケージのアートワークもとてもユニーク。ボックスには白い表紙のブックレットと、白い紙ジャケに入ったCD本体の他に、ジャケットサイズの5枚の紙が入っていて、それぞれに楽章ごとのイメージのイラストが載っています。正直、そのイラストはあまりに説明的過ぎて陳腐の極みです。もちろん、そんなのもどうでもいいことですね

オーケストラの編成は、オリジナルの編成の楽器がそれぞれ1人ずつ(ヴァイオリンとヴィオラは2人ずつ)と、オリジナルにない楽器としてアルペン・ホルンとエレキギター、そしてピアノとキーボードが加わります。さらに、第2楽章と第4楽章にはブラスバンドも加わっているようです。
第1楽章は、いきなりヴァイオリンのソロで始まります。それはまるでカデンツァのようですが、次第に「幻想」の頭の部分を元にしたインプロヴィゼーションのような気がしてきます。そのうちに、オリジナルをきちんと少ない楽器で演奏したものも聴こえてきます。どうやら、この編曲のプランはそんな風に思いっきり崩す部分と、そのままほぼ忠実に演奏する部分とを交互に提供する、というようなものなのでしょう。
とは言っても、第2楽章ではまずエレキギターのリズムから始まって、まるでチンドン屋みたいな安っぽいワルツになったと思うと、それがさらにブラスバンドによる「スウィング」に変わります。この楽章は、ほとんどがそんなビッグバンド風のスウィングに支配されている感じ、あまりに明るすぎるそのノリノリのグルーヴには、かなりの違和感が付いてまわります。
第3楽章では、オリジナルではイングリッシュ・ホルンの物憂げな「呼びかけ」がとても印象的ですが、ここではなんとそのパートを「アルペン・ホルン」に吹かせています。なんとも雄大なその響きは、この楽章が本来持っている情感とは全くかけ離れたもの、いったい何を考えているのでしょうか。しかも、それは何とも不思議なメロディに変わっているので(応えるオーボエは普通のメロディなのに)、聴いていて気持ち悪くなってしまうほどです。
第4楽章は、「断頭台への行進」というタイトルを真に受けて、ブラスバンドが本当の「行進曲」を演奏していますよ。これから殺されるというのに、どうしてそこまで元気でいられるんでしょう。不思議です。
終楽章では、安っぽいコンピューター・プログラミングが大活躍、「Dies irae」のテーマも重々しさが全然ない間抜けな音源で、笑ってしまいますよ。
この、才能のなさをテクノロジーでしかカバーできない三文作曲家の仕事によって、ベルリオーズのオーケストレーションがいかに素晴らしいものであったか、ということに誰しもが気づいたことでしょう。

CD Artwork © Le Balcon
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by jurassic_oyaji | 2016-12-03 21:57 | オーケストラ | Comments(0)