おやぢの部屋2
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MAHLER/Das Lied von der Erde
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Dietrich Fischer-Dieskau(Bar)
James King(Ten)
Leonard Bernstein/
Wiener Philharmoniker
TOWER RECORDS/PROC-1991(hybrid SACD)




1966年に録音された、バーンスタインとウィーン・フィルによるマーラーの「大地の歌」がSACDになりました。発売当時からかなりの評判をとっていたレコードですから、CDが流通し始めたかなり早い時期、1989年にはCD化され(左)、さらにその後も「オリジナルス」のような仕様(右)で新たにリマスタリングが施されたものもリリースされていました。

しかし、今に至るまでSACDやBD-Aでのリリースはなかったはずです。それが、この前のコンドラシンの「シェエラザード」で見事なハイレゾ化を見せてくれたタワーレコードの企画によって、めでたくSACDを聴くことが出来るようになりました。
なにしろ、プロデューサーはジョン・カルショー、エンジニアはゴードン・パリーという、あのショルティの「指輪」を完成させたパリパリのDECCAの黄金コンビによる制作、その音の神髄はとてもCDでは再生できるわけはありませんから、これには喜びもひとしおです。
その1966年というのは、バーンスタインが初めてウィーンの国立歌劇場で指揮をした記念すべき年でした。そこで上演された「ファルスタッフ」が人気を集めたので、バーンスタインをアーティストとして抱えていたアメリカのCBSは同じキャストでのレコーディングを企画します。そして、表向きはCBSのジョン・マクルーアがプロデューサーというクレジットで作られたレコードは、実際はエリック・スミス(プロデューサー)、ゴードン・パリーとコリン・モアフット(エンジニア)がウィーンのゾフィエンザールで録音を行ったという、完全にDECCAによる制作だったのです。その時のオーケストラのウィーン・フィルが、DECCAの専属アーティストだったからですね。
ですから、DECCAとしてはそのバーターとして、同じメンバーによってDECCAとしてのレコードを作ることが出来たのです。それが、この「大地の歌」でした。
さらに、バーンスタインは1968年にもこの歌劇場に登場して、シュトラウスの「ばらの騎士」を指揮して、やはり大評判となり、そのプロダクションが1971年に再演された時に、やはりDECCAのチームによって録音されたものがCBSレーベルからリリースされています。その時のプロデューサーは、すでに1967年にはDECCAを去ってBBCで仕事をしていたカルショーでした(エンジニアはゴードン・パリーと、ジェームズ・ロック)。
この「大地の歌」は、確かに今までのCDとは一線を画した、ハイグレードの音になっていました。解像度は明らかに増して、それぞれの楽器や歌手が立体的に聴こえてくる、というのは、今までの「良い」SACDでは必ず味わえたものです。ただ、2種類のCD(初版とオリジナルス)と今回のSACDを比べてみると、なんだかマスターテープそのものが違っているのではないか、という気がしてきました。
今回のブックレットには
本国のオリジナル・アナログ・マスターテープからダイレクトにDSD変換とマスタリングを行い、SACD層用のDSDマスターを制作しています。(略)なおアナログ・マスターテープはその経年劣化と保存状態に応じて、可能な範囲で入念な修復作業を行った後に変換作業を実施しています。

とありますが、その「修復」というのは具体的にはどういうものなのでしょう。SACDではヒスノイズが少なくなっていますし、ヴォーカルの音像が少し引っ込んだ感じになっています。さらに、2曲目の「Der Einsame im Herbst」で、初版では派手あちこちで認められたドロップアウトが、SACDでは全くなくなっています。あるいは、初版とSACDにはなかったドロップアウトが、オリジナルスにだけ存在していたりします。ですから、DSDにトランスファーする以前に、かなり大々的な修復作業(正確には、デジタル・エディティング)が行われていたのではないでしょうか(DSDでは、そのような精密な編集作業は不可能です)。それは「オリジナル・アナログ・マスターテープからダイレクトにDSD変換」というものには程遠い作業のような気がするのですが。

SACD Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2016-12-06 23:08 | オーケストラ | Comments(0)