おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOOG
A Documentary Film by Hans Fjellestad










ナウオンメディア/NODD-00023(DVD)


今年の春先、東京でこのロバート・アーサー・モーグのドキュメンタリー・フィルムが公開されているという事を知った時、どんなにか見に行きたいと願った事でしょう。なにしろ、映画が始まる前に「テルミン」の生演奏まであるというのですからね。しかし、その映画は単館上映という上に、さらに、上映時間は夜中の9時過ぎだけという、超マイナーというかマニアックなものでした。とても日帰りで○○から出かけていくのは無理だと、涙を飲んだものでした。そんなコアなものが、なぜか連日満員御礼、ついにはこうしてDVDまで出てしまうのですから、すごい世の中です。
ロバート・モーグといえば、「シンセサイザー」という「楽器」の発明者として、おそらく後世の音楽史には必ず登場するに違いない人です。この映画では、彼自身がナレーターとして出演、まずは彼の最新の仕事が紹介されます。彼が作った「楽器」は、まさに音楽のあり方まで変えてしまうほどのすごいものだったわけですが、現在では何と言っても「デジタル・シンセサイザー」が主流、彼の「アナログ・シンセサイザー」などもはや誰も見向きもしない・・・と思っていました。しかし、彼は今でもこの「アナログ」にこだわって、名器「ミニモーグ」の改良型である「ミニモーグ・ヴォイジャー」を、本当に小さな工場(「工房」といった方がいいかも)で作り続けているのですね。そこで「回路」とか「基板」について語っている姿は、殆ど「楽器職人」といった印象がふさわしく思えます。彼の自宅の菜園なども紹介されますが、そこで語られる「オーガニック」指向と彼の楽器との結びつきも興味深いものです。
それに続くのが、この「楽器」を開発する際の協力者であったハーブ・ドイチとの対談に始まる、「モーグ」を世に広めたさまざまな音楽家たちとの対話です。中でも興味深いのが、リック・ウェイクマンとの話。彼は「モーグからは100%魅力を引き出す事が出来るが、デジタル・シンセでは10%程度の機能しか使っていない」と語っています(その後に、「それは女房と同じ事」と言いだして、ちょっと下ネタになるのですが)。単音しか出せない上に、いくつもある「ツマミ」を細かく調整して、やっと自分の求める音が出せるといった不自由さ、しかし、そこにはしっかり演奏者との暖かいつながりが存在しているのでしょうね。ただ、この楽器が世に出るきっかけとなった「スイッチト・オン・バッハ」というアルバムを作ったウェンディ(ワルター)・カーロスからの協力が一切得られなかったため、彼女(彼)に関する映像が使用できなかったというのは、残念です。
後半では、やはり彼が、実はシンセサイザー以前から関わっていた「テルミン」が紹介されます。こちらでも述べられているように、最近になって日本でもブームを巻き起こしているこの不思議な楽器は、モーグなくしては今日まで生き延びる事は出来なかったものです。この楽器の演奏家の最先端、何とウォーキング・ベースそっくりの音までも出してしまうというパメリア・カースティンとの対談が見物です。
DVDだけの特典映像の中で、モーグは日本向けに、彼の会社の最新の製品を紹介してくれています。先ほどの「ヴォイジャー」や「テルミン」の最新モデル「テルミン・プロ」、いとおしげに自分の楽器を売り込むとともに、「まだまだ計画中のものがある」と語っていたボブ・モーグは、このDVDが日本でリリースされた直後の8月21日、脳腫瘍のため71歳で帰らぬ人となりました。もうぐ(喪服)を着て、ご冥福をお祈りします。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2005-09-02 19:44 | 映画 | Comments(1)
Commented by tar_ks at 2005-09-20 12:12 x
バーニー・ウォレルが下ネタに走る様はすごく嬉しそうでしたね(笑)