おやぢの部屋2
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WAGNER/Die Walküre
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Stuart Skelton(Siegmund), Heidi Melton(Sieglinde)
Falk Struckmann(Hunding), Matthia Goerne(Wotan)
Petra Lang(Brünhilde), Michelle De Young(Fricka)
Jaap van Zweden/
Hong Kong Philharmonic Orchestra
NAXOS/NBD0051(BD-A)




トータルの演奏時間は3時間56分18秒ですから、CDでは4枚組になってしまって5,602円なのですが、それがBD-Aでは1枚に収まるので2,483円(いずれも税込希望小売価格)で買えるという、ちょっと納得のいかない価格設定です。いや、BD-Aを聴ける環境にある人はうれしいでしょうが、それと全く同じ内容で格段に音が悪いCDが倍以上の価格だというのが問題なわけでして。まあ、NAXOSですから。
そのレーベルのお膝元、香港フィルが毎年1月に行っている、コンサート形式によるワーグナーの「指環」ツィクルス、前回の「ラインの黄金」に続き、2年目となる今年は「ワルキューレ」の登場です。
香港、あるいは中国全土のオーケストラにとっては初めての挑戦となる「指環」全曲の上演を成し遂げようとしているこのオーケストラは、他のアジアのオーケストラ同様、ヨーロッパ系の外国人のメンバーをたくさん抱えています。ソロのパートを任される管楽器セクションではその比率は非常に高く、フルートなどは全員外国人ですし、金管も、ホルンの3人を除いてはすべて外国人です。
ただ、トゥッティとなる弦楽器では、逆に外国人が少なくなっています。ヴァイオリンなどは、全体で2人しかいませんからね。
このような構成員によるオーケストラですから、前回の「ラインの黄金」を聴いたときの全体の印象としては弦楽器は繊細で管楽器はパワフルだ、というものでした。ですから、ワーグナーではやはり、弦楽器がちょっと非力に感じられてしまっていました。しかし、それから1年後のこの録音では、その弦楽器がかなり頑張っています。まだまだドイツあたりのオーケストラには及ばないものの、例えば日本のオーケストラに比べたらはるかに魅力的なサウンドを奏で始めているような気がします。
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンの指揮も、そんなオーケストラの長所を最大限に引き出そうと、決して勢いだけには終わらない緻密な表現を心掛けているのではないでしょうか。中でも、ライトモティーフの扱いがとても巧みなので、リブレット(あいにく、BD-A本体には付いていません)を見なくても物語の進行が手に取るようによく分かります。いつもは、ちょっと冗長なところがあるので退屈してしまう第2幕も、ずっと集中して聴いていられましたよ。
録音も素晴らしく、コンサート形式の利点を存分に生かして、ソリストたちの声がとても明瞭に聴こえてきます。そんな中で最もインパクトを感じたのは、ジークムント役のスケルトンです。今まで、宗教曲では聴いたことはありましたが、オペラでは初めての人、一応は「ヘルデンテノール」というカテゴリーに入っているのだそうですが、もっと大きな可能性を秘めているように思えます。正直、「ヘルデン」にしてはあまりに声がきれいすぎて、それほどの力は感じられないのですが、この役の場合はそれがとてもいい方に作用しています。確かに、ジークムントは「英雄」とは言えませんからね。「Wälse!」という叫びなどは、例えばカウフマンなどに比べるとあまりにおとなしいのでびっくりしてしまいますが、スケルトンだとなぜか許されてしまいます。
ですから、ジークリンデ役のメルトンがあまりに立派過ぎるので、この二人の力関係が変わって感じられますが、まあそれもありでしょう。
ただ、ブリュンヒルデ役の、今年バイロイト・デビューを果たしたというラングは、ちょっと勢いだけで歌っているようながさつなところが気になります。発声も、中音と高音の切り替えがうまく行ってないところもありますから、この先どうなっていくのでしょうか。
次回の「ジークフリート」では、メルトンがブリュンヒルデで、タイトル・ロールはサイモン・オニールですって。楽しみです。常連のフリッカ役のデ・ヤングとヴォータン役のゲルネも出るね
これもぜひBD-Aでリリースしてくださいね。

BD Artwork © Naxos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2016-12-20 23:10 | オペラ | Comments(0)