おやぢの部屋2
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WEBER/Oberon
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Jonas Kaufmann(Huon), Steve Davislim(Oberon)
Hillevi Martinpelto(Reiza)
John Eliot Gardiner/
Monteverdi Choir
Orchstre Révolutionaire et Romantique
DECCA/478 3488


最近、ウェーバーの「オベロン」序曲についてちょっと調べていたら、全曲盤を聴いてみたくなりました。でも、たとえばNMLあたりでは恐ろしく古い録音のものしかないんですよね。序曲だけは有名だけど、全曲はめったに演奏されることはない、という噂は本当だったのです。NML以外でも、クーベリック盤などは割と最近のものですが、それでも1970年の録音でした。なんせ、ビルギット・ニルソンなんかが歌っていますからね。そうしたら、もっと最近、2002年に録音されたものもあることが分かりました。探して見たら2012年にリイシューになっていたものが、お安く入手できました。
録音のクレジットを見てみるとプロデューサーはイザベラ・デ・サバタですから、この頃は彼女がガーディナーとともに「SDG」を起こす前で、まだDGに籍があったのでしょう。2005年にしっかりDECCAからリリースされましたし、同時に国内盤でも発売されていました。
実は、買ってまでこのCDを聴きたかったのは、カウフマンがこの中で主人公のヒュオンを歌っていたからなのです。確かに、こちらのカウフマンの「自伝」の巻末にあるディスコグラフィーにも載っていましたね。ただ、そこでは録音されたのが「2004年」となっているのが情けないところですよねん
いずれにしても、これが最初にリリースされた時には彼は全くこの業界では無名だったのは、「レコ芸」の広告でこんな表記がされていることからも分かります。
さらにこの雑誌の月評を執筆した國土さんという有名な音楽評論家でさえ、「歌手陣は筆者にとっては未知の名前ばかり」と、正直に述べていますからね。そもそも、このCDを作ったDECCAでさえも、その時のジャケットにはカウフマンの名前は2番目に載せていました。それが、このリイシュー盤では、順序が変わって一番先になっていますし、こんなシールまで貼られてましたよ。
「今を時めくカウフマンが、かつてはこんなアルバムにも参加していました」というノリで売り込もうというレーベルの魂胆がミエミエですね。
このオペラは、元々はロンドンのコヴェント・ガーデンからの委嘱で作られたもので、台本は英語で書かれています。しかし、そのストーリーは支離滅裂の極みです。「オベロン」というのは、シェークスピアの「真夏の夜の夢」に登場する妖精の王で、そこでの狂言回しのパックなども出てきます。さらに、同じ作者の「テンペスト」の要素も加わっていますし、どういうわけかモーツァルトの「魔笛」と「後宮」のプロットまで紛れ込んでいるのですからね。今では、実際に上演する際には、ほとんどの場合英語ではなくドイツ語に直して演奏されています。それを、本来の英語で歌わせているのは、おそらくこのガーディナーの録音が最初なのではないでしょうか。
ただ、このオペラはそれこそ「魔笛」などと同じジンクシュピールですから、物語はセリフで進行し、その間にアリアやアンサンブルが入るという形を取っています。それを、ガーディナーは全てのセリフをカットして、その代わりにあらすじの要約をナレーターが語るように直しました。そのため、本来なら2時間半以上かかる全曲が2時間足らずで終わってしまうほどの長さに切り詰められています。まあ、そのために、ここでは多数出演することになっている「歌わない」セリフだけの出演者は全く出番がなくなるので、ストーリー展開としてはスカスカなものになってしまいますが、そもそもいい加減なプロットなのでなくてもいいだろう、という判断なのでしょう。
2002年のカウフマンといえば、チューリッヒ歌劇場専属の歌手として、世界的にブレイクし始めたころなのでしょう。ここでは、もちろんあの張りのある強固な声も聴けますが、第2幕の12番のアリアでは「抜いた」声も駆使して幅広い表現力を見せています。彼のファンにとっては思いがけない掘り出し物でしょう。

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by jurassic_oyaji | 2017-02-21 23:55 | オペラ | Comments(0)