おやぢの部屋2
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L'inverno degli flauti
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Die 14 Berliner Flötisten
MDG/308 1932-2



なんか、最近は仙台と言えば「電子タバコ」のメッカになったような感がありますね。「グロー」という最新のものは仙台市内でしか買えないだけでなく、仙台に住んでいる人でなければ購入が許されないのだそうですよ。その、日本に一つしかないショップの前に行くと、警備員が「今日の販売予約は終了しました」という看板を持って立ってました。なんでも、朝早くから並ばないと、その日の割り当ては入手できないのだそうです。そんな苦労までしてタバコを吸いたいという人がいるということ自体が、異常です。タバコがこの世からなくなってくれる日など、あるのでしょうか。
先日ベルリン・フィルをめでたく定年退職したアンドレアス・ブラウが、ベルリンのオーケストラの団員や、元団員、あるいはフリーランスのフルーティストなどを集めて結成した「14人のベルリンのフルーティスト」の、最新アルバムの中には、そんな「タバコ」がらみの曲が入っていました。
それは、ロシアの作曲家アナトーリ・リャードフが作った「Une Tabatiére à musique」というタイトルの曲です。そのまま訳すと「音楽仕掛けのタバコ箱」ですから、タバコを収納する箱がオルゴールになっているものなのでしょう。ふたを開けるとオルゴールが動き出して音楽を奏でる、というものですね。ライナーノーツには、「かつては栄えたタバコ文化も、今では健康問題で見る影もない。管楽器奏者にとっては、これはとてもありがたいことだ」みたいなことが書かれています。この曲、なぜか日本では「音楽の玉手箱」という名前が付けられているピアノ・ソロのための曲ですが、そのシンプルなワルツはなんだかどこかで聴いたことがあるような懐かしさを秘めていました。終わりごろにはテンポがだんだん落ちていくのは、オルゴールのゼンマイが切れた様子を描写しているのでしょう。
これは、昨年の末にはリリースされていたクリスマス・アルバムです。メンバーは名前の通り「14人」のはずなのに、今回は全部で18人のフルーティストと1人の打楽器奏者が参加しています。
アルバムのタイトルが、イタリア語で「フルートたちの冬」となっていますが、それはこの中で取り上げられているヴィヴァルディの「冬」からのもじりなのでしょう。有名な「四季」の中のヴァイオリン協奏曲をフルート族のために編曲したものです。ソロ・ヴァイオリンのパートも、一人で吹くのではなく何人かでかわるがわる吹いているみたいですね。なかなか楽しく聴ける半面、ちょっと生真面目すぎるようなところもありますが、まあドイツの人たちのことですから、あまり融通が利かないところは我慢しましょう。
そんな、ちょっと堅苦しいところがもろに見えてしまうのが、「Have Yourself a Merry Little Christmas」という歌のアレンジ。ジュディ・ガーランドやフランク・シナトラが歌った元の曲を知っていてもいったい何が始まったのか、と思わせられるようなものすごい複雑なことをやっています。ラテンっぽいリズムでまとめてはいるのですが、軽やかさは全く感じられないという、恐ろしい仕上がりです。
でも、元々クラシックだったものには、きちんと敬意を払って原曲の味がきっちり味わえるようになっています。コレッリの「クリスマス協奏曲」などは、とても素直なアレンジで、しかもフルートの味がよく出ています。ピッコロが2本使われていて、左右に分かれて呼び交わしているのが素敵です。これは、エゴルキンとデュンシェーデという、ベルリン・フィルの現役とOBの競演なのでしょう。
でも、やはり一番しっくりくるのは、この団体のために作られた新しい曲でしょう。1974年生まれのスイスのオーボエ奏者で作曲家のゴットハルト・オーダーマットという人が作った「Perseus」という作品は、このフルート・アンサンブルの特性をしっかり見極めたうえでちょっと新し目の和声とリズムで、最大限に彼らの魅力を引き出しています。

CD Artwork © Musikproduktion Dabringhaus und Grimm

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by jurassic_oyaji | 2017-02-23 20:14 | フルート | Comments(0)