おやぢの部屋2
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ニューフィルがオーケストラ初体験
 先日のニューフィルの定期演奏会、演奏されたベートーヴェンの「運命」はなんと30年ぶりに演奏されたのだ、と、いろいろな資料には書いてありました。もっとも、その元ネタは私が書いたものなのですがね。その「30年」というのには、私の個人的な感傷も含まれているのだ、ということを知る人はほとんどいないはずです。
 実は、その30年前、1987年4月25日に行われた第8回定期演奏会というのは、私がニューフィルに入って初めて参加した定期演奏会なのでした。そのことはこちらにも書きましたが、この演奏会は、だから、私にとっては「入団30周年記念演奏会」という、とても感慨深いものになるはずでしたが、そんなことは考えている暇もなかったぐらい忙しい演奏会になってしまいました。なんせ、本番の休憩時間には、こんなことをやってましたからね。
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 これは、前半の録音を聴いて入力オーバーになっていないかチェックしているところ、いつの間にか撮ってくれていた人がいて、送ってくれました。この時は、そんなところばっかり聴いていて、逆チャンネルだったことはそれほど気になりませんでしたね。
 で、結局30年前と同じ曲の同じパートを吹いたわけですが、その景色は全然違っていましたね。前回はなんせ入ったばかり、たしか、入団したのは3月ごろだったのですでにその時のパートは決まっていて、他の曲のパートはすべてその時にいた2人のメンバーに決まっていましたから、私のパートは必然的に「運命」のピッコロに決まってしまったのです。でも、その2人は本当によく練習を休みましたね。ですから、私はほとんどその人たちの代わりに練習は吹いていました。「魔笛」で1番を吹いていた人は、良くこんなんでオケがやれるな、というほどの怪しげな腕の持ち主でしたが、そんな人がいくら休んでも代わりに私が本番を吹く、などということはあり得ませんでしたね。今のニューフィルでは考えられないようなことが横行していたのです。
 私は、それまではこういう団体の経験は全くありませんでしたから、もうまわり中が全員敵のように思えてしまっていましたね。お互いが疑心暗鬼、そんな殺伐とした中での、30年前の「運命」でした。
 今回は、まわりの状況は一変していました。完全とは言えないまでも、ほとんどの団員とは「仲間」として心が通えるような間柄にはなれていますから、そこには確かな信頼感が生まれています。人付き合いの苦手な私でも、30年もかければとても居心地の良い場所が自然と出来ていたのではないでしょうか。
 嫌な思い出ですが、30年前は、上にいた人たちを追い越そうとして、常にもがいていたような気がします。その先に何があるかなんて、考えてもみませんでした。ところが、そのうちにいつかは「追う」側から「追われる」側になってしまうのではないか、と思うようになりました。そんな立ち位置になることなんて全く想定していませんでしたから、そのことに気づいたときには暗澹たる気持ちになったものです。
 でも、今では余裕をもって「追われる」身を楽しめるようにすらなっています。不遜な言い方ですが、もうここまで来たら、とことんこの立ち位置を楽しんでやろうと思っています。そして、くれぐれも「退き際」を間違えることがないようにするために思慮深くなることが、「30周年」以降の目標となっていくはずです。
by jurassic_oyaji | 2017-04-26 22:17 | 禁断 | Comments(0)