おやぢの部屋2
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BACH/St. John Passion
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Nicholas Phan(Ev), Jesse Blumberg(Jes), Jeffrey Strauss(Pil)
Amanda Forsythe(Sop), Terry Wey(CT), Christian Immler(Bar)
Jeannette Sorrell/
Apollo's Fire(The Cleveland Baroque Orchestra)
Apollo's Singers
AVIE/AV2369


1992年に創設されて、今年25周年を迎えたのが、アメリカのピリオド・アンサンブルが「アポロズ・ファイア」です。同時に「アポロズ・シンガーズ」という合唱団も結成され、バロックのレパートリーに限らずモーツァルトやベートーヴェン、シューベルトまでの演奏を行い、全世界で絶賛を博している団体なのだそうです。CDも、これまでにAVIEとKOCHから30枚近くリリースしています。
この団体を創ったのはジャネット・ソレルという1965年生まれの女性です。なんでも、彼女は指揮をレナード・バーンスタインとロジャー・ノリントン、チェンバロをグスタフ・レオンハルトに師事したのだそうです。1991年にはアトランタで開催された国際チェンバロ・コンクールで優勝しています。
この団体は、2016年の3月に、本拠地のクリーヴランドとニューヨークで7回「ヨハネ受難曲」のコンサートを行いました。その中で、3月7日から9日までのクリーヴランドのセント・ポール教会での演奏がこのCDには収録されています。このコンサートは映像でも撮影されていて、彼らのサイトでその一部を見ることが出来ます。それは、ちょっとほかでは見られないようなユニークな点がたくさんある、興味深いものでした。
まず、ここでは指揮者のソレルが、ポジティブ・オルガンを演奏しながら指揮をしています。それが、普通こういうキーボードを弾きながらの「弾き振り」だと座って演奏するものですが、彼女はオルガンを指揮台の上に乗せて、その前でずっと立ったまま指揮をしたりオルガンを演奏したりしているのです。彼女はパンタロンのような裾の広がったパンツを穿いているので、絵的にはなんとも華やかというか。
彼女の他にもオルガン奏者がもう一人アンサンブルの中にいて、そちらは指揮にはきちんと両手を使わなければいけない合唱の部分での演奏を担当しているようです。彼女は、ですからレシタティーヴォやアリアなどでの低音を担当しています。これがとてもいい感じ。エヴァンゲリストとの呼吸がぴったり合うんですね(阿吽の呼吸)。
合唱のメンバーは20人ほどですが、その中にはソリストも含まれています。彼らは普段は後の合唱団の中にいて、自分の出番になると前の方に設けられたステージのようなところに来て歌い始めます。唯一、エヴァンゲリストのニコラス・パーンだけは、常に前の方に立っています。そこに、イエスのジェシー・ブルームバーグやピラトのジェフリー・ストラウスが絡む時には、その二人は楽譜も持たずに登場して、ステージの上でちょっとしたしぐさを交えながら物語を進めていきます。後ろの壁にはプロジェクターで字幕が投影されていますから、英語圏の人にもその物語の内容ははっきり伝わることになります(確か、日本でも字幕付きでこの曲を演奏していたところがありましたね)。
パーンの声は、とても伸び伸びとした心地よいものでした。さらに、彼はテノールのアリアも歌います。それももちろん素晴らしかったのですが、やはりライブで両方とも全部歌うというのは大変なことですから、ちょっと苦しいところがあったのが残念です。そのほかのソリストも粒ぞろい、ソプラノのアマンダ・フォーサイスはとてもキュートですし、カウンターテナーのテリー・ウェイも深みのある声、そしてバリトンのクリスティアン・イムラーは完璧です。
合唱は、あえて感情を表に出さない、とてもクールな歌い方でした。それが、逆に恐ろしいほどの迫力を感じさせられるのですから、これはただ事ではありません。時折、指揮者の裁量でコラールがア・カペラで歌われるところなどは、背筋が凍りつくほどのインパクトがありましたよ。
常にオルガンのモーター音が聴こえているのと、CD2のトラック7の00:49から00:52にかけて録音機材に由来するノイズが聴こえるのが、ちょっとした瑕です。編集で気が付かなかったのでしょうか。

CD Artwork © Apollo's Fire/Jeannette Sorrell

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by jurassic_oyaji | 2017-05-13 20:32 | 合唱 | Comments(0)