おやぢの部屋2
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ARIAS FOR ALL
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Julian Reynolds/
Ave Sol Choir
Latvian Opera Orchestra
SONY/88985370282


「アヴェ・ソル」というなんともなつかしい名前がSONYの新譜の中にあったので、思わずチェックしてしまいました。総理大臣が威張っていたわけではありません(それは「安倍、反る」)。正式な名前は「リガ室内合唱団『アヴェ・ソル』」。ラトヴィアの首都リガで1969年にこの国の合唱界のリーダーだったイマンツ・コカーシュによって創設されたプロの合唱団です。ラトヴィアは近隣のエストニア、リトアニアとともに「バルト三国」と呼ばれていて、それぞれに合唱音楽のレベルの高さで広く知られています。「アヴェ・ソル」は、そんな中でも「ラトヴィアでは最高峰の合唱団」と言われていました。
2003年にはビクター・エンタテインメントから「バルト三国の合唱音楽選集」という5枚のCDのシリーズがリリースされましたが、その中の2枚をこの「アヴェ・ソル」の演奏が占めていたということが、この合唱団の実力を端的に物語っています。このうちの男声合唱と混声合唱を収めたCDを聴いてみると、その素晴らしさには言葉を失います。男声はあくまでソフトな音色でとても繊細な響きを出していますし、女声はとことんピュアな声で迫ります。もちろん全曲ア・カペラで歌われていて、混じりけのない極上のサウンドが堪能できました。
そんな合唱団がオペラ・アリアを「合唱」で歌う、という触れ込みのCDを作りました。一瞬、これはオペラ・アリアをア・カペラの合唱で歌っているのだな、と思ってしまいました。あの澄んだハーモニーで、有名なオペラ・アリアを歌えば、そこにはまた新たな魅力が加わることでしょう。というか、普通にオーケストラをバックに合唱でアリアを歌ったって、なんにも面白くないじゃないですか。
ところが、そんな期待は完全に裏切られてしまいました。ここではまさにその「な~んにも面白くない」事をやっていたのですよ。バックインレイを見てみると、そこには12曲の非常に有名なオペラ・アリアのリストとともに、「ジュリアン・レイノルズの指揮によるラトヴィア・オペラ管弦楽団」という文字があったではありませんか。
ジュリアン・レイノルズは、世界中のオペラハウスで指揮をしているオペラのスペシャリストです。ネーデルランド・オペラとかモネ劇場といった渋いところで活躍しています。そして、このオーケストラはリガにあるラトヴィア国立歌劇場のオーケストラのピックアップ・メンバーによってこの録音のために用意されたものなのでしょう。ブックレットの写真ではフルートには首席奏者ミクス・ヴィルソンスの顔も見られますが、弦楽器はおそらく8型程度の少人数のようですね。
最初の、「トゥーランドット」の「Nessun dorma」あたりは、なかなかのもののように思えました。この曲にはもともと合唱も入っていますが、それとソロとの歌いわけも納得できるような編曲で、それほど抵抗なく聴くことが出来ます。しかし、合唱のサウンドは、先ほどのア・カペラのCDとは雲泥の差でした。それぞれのメンバーがとても立派な声を持っているのはよく分かるのですが、合唱としてのまとまりがほとんど感じられないのです。創設者のイマンツ・コカーシュはもう亡くなっていて、今では息子のウルディスが指揮をしているそうですが、そのせいなのか、あるいはこんな適当なセッションなのでろくすっぽリハーサルもしていなかったのか、それは分かりません。
いや、これは決して「適当」なものではなく、それぞれの曲は合唱が映えるように指揮者のレイノルズによってかなり手が加えられているのですが、それはどうやら逆効果だったようです。「カルメン」の「ハバネラ」でティンパニが堂々と鳴り響くアレンジなどは、あまり聴きたくはありません。そして、弦楽器があまりにしょぼすぎます。
不思議なのは、写真とは反対の定位で合唱が聴こえてくること。オーケストラでも、弦楽器はそのままの定位ですが、ティンパニだけ写真とは反対側から聴こえてきます。なんか、いい加減。

CD Artwork © Sony Music Entertainment

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by jurassic_oyaji | 2017-05-16 22:56 | 合唱 | Comments(0)