おやぢの部屋2
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GLANERT/Requiem for Hieronymus Bosch
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David Wilson-Johnson(Voice), Aga Mikolaj(Sop)
Ursula Hasse von den Steinen(MS), Gerhard Siegal(Ten)
Christof Fischedder(Bas), Leo van Doeselaar(Org)
Markus Stenz/
Netherlands Radio Choir(by Edward Caswell)
Royal Concertgebouw Orchestra
RCO/RCO 17005(hybrid SACD)


1450年に生まれて1516年に亡くなったネーデルラント(オランダ)の画家、ヒエロニムス・ボス(「ボッシュ」とも表記)は、昨年没後500年を迎えました。それに合わせて、オランダでは財団が設立され、この画家の業績を広く知らしめるイベントが盛大に行われているのだそうです。その一環として、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との共同委嘱で、こんな作品が出来上がりました。タイトルは「ヒエロニムス・ボスのためのレクイエム」です。亡くなってから500年も経ってから「レクイエム」でその死を悼む、という発想がすごいですね。
委嘱を受けたのは、1960年生まれのドイツの作曲家で、これまでに10曲以上のオペラを作っているデトレフ・グラナートです。コーヒーには欠かせません(それは「グラニュー糖」)。
彼が作った「レクイエム」は、2016年11月5日に、コンセルトヘボウで初演を迎えました。このアルバムは、その世界初演の録音です。演奏時間は83分と、かなり長大な作品ですが、それがなんとハイブリッドSACD1枚に収まっているのですから、すごいですね。CDレイヤーにそんなに収録されているのですからね。これで、こちらを抜いて、今まで聴いたCDでは最長記録となりました。
そんなに長くなったのは、この作品の構成のせいです。ここでは、通常のレクイエムの典礼文の間に、ボスにちなんで、こちらにも登場した彼の代表作である「七つの大罪と四終 」の「七つの大罪」からインスパイアされた曲が7曲(「大食」、「憤怒」、「嫉妬」、「怠惰」、「虚栄」、「淫欲」、「貪欲」)挿入されているのです。そのテキストは、なんと「カルミナ・ブラーナ」、カール・オルフの作品で有名な写本ですが、もちろん、オルフが使ったものは避けて、歌詞が選ばれています。
編成も巨大です。4人の歌手と、もう一人歌わないバリトンのナレーターのソリスト、2つの混声合唱、オルガン、そして多くの打楽器が入ったフル編成のオーケストラです。空間的な配置にも工夫があって、ナレーターは「高いところ」から語り、合唱はステージの上と客席のバルコニーの2か所に配置されています。
第1曲目はやはりカルミナ・ブラーナのテキストによる「De Demonibus(悪魔の)」というタイトルの曲。まず、バリトン歌手デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソンの「声」で始まります。それは「ヒエロニムス・ボス!」という叫び声(彼は、常に叫ぶだけす)。それに続いて、ボスの名前を音名に変換したモティーフがチューブラー・ベルで現れます。かなりのこじつけですが、それは「HERSBCH」で「H,E,D(=Re),Es,B,C,H」というドイツ音名の音列になり、この曲のいたるところに顔を出しています。そして、合唱が始まると、それはまさにオルフの「カルミナ・ブラーナ」とそっくりな音楽が展開されます。それはそれで、キャッチーな「ツカミ」としての役割は十分に果たすものでした。
次の「Requiem Aeternam」は、ガラリと雰囲気が変わって、バルコニーの合唱とオルガンだけで、しっとりと歌われます。そんな感じで、まるで「聖」と「俗」が交互に現れるようななんとも感情の起伏が激しい音楽は続きます。
「7つの大罪」は、決まりきったパターンで、最初に叫び声、その後は合唱は入らずソリストとオーケストラだけで演奏されます。ソリストはローテーションで、重唱も含めて同じ回数だけ登場しています。ここでも、やはりオルフの作品の影が見え隠れしてしまいます。
典礼文の部分も、時折無調のテイストが感じられるところもありますが、大半は派手なオーケストレーションで、ショスタコーヴィチやジョン・ウィリアムスを思わせるような迫り方の曲も。
でも、最後の「In Paradisum」は、とても安らかで美しい曲でした。それまで何度となく怒鳴られ続けていたボスも、ここでやっと安息の地を見つけられたことでしょう。

SACD Artwork © Koninklijk Concertgebouworkest

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by jurassic_oyaji | 2017-08-03 20:45 | 合唱 | Comments(0)