この間ミューザ川崎で聴いてきたのは、ソニー・フィルというアマチュアのオーケストラでした。その名の通り、ソニーの社員やOB、家族がメンバーのオーケストラです。なんでも、その演奏会は「定期演奏会」とは言わないで、ただの「演奏会」なんですって、「不定期」なんですね。そのわけがプログラムに書いてあって、まず会場を取ってから、演奏会の企画を始めるんですって。それがなかなか取れないので、「定期」は無理なんだとか。そういう人気のあるコンサートホールしか使わないんですね。今回は川崎ですが、調べてみるとトリフォニーとか東京文化会館とか、大きなホールばかりでした。確かに、そういうところはプロのオーケストラだけではなく、アマチュアもよく使っていますから、なかなか取れないのかもしれませんね。
ということは、当然そのぐらいのお客さんを集めるだけの力があるのでしょう。確かに、私は開場の30分前に当日券を買って並ぼうとしたら、すでに20人ぐらいの列が出来ていましたからね。そして、開場間近になると、コンサートホールの前のかなり広いスペースはお客さんで一杯になってしまいました。主催者はもう心得たもので、列ができる前からしっかりロープを張って、きちんと列が蛇行できるように準備をしていましたからね。おそらく、あの感じだと、県民会館だったら列がホールの建物を一回りして頭に戻ってくるぐらいの人が並んでいたのではないでしょうか。
でも、私はかなり前の方でしたから、席は選び放題でした。ここには1回来たことがあったので、並んでいるうちからどこの入り口から入ってどこの席を目指すか、ということを考えていましたね。そこで選んだのが、オケの真横の席です。ただ、そのようなマニアックな席はあまり人気がないようで、もっぱら1階席や正面の席が埋まっていきますね。
おそらく、1000人は軽く超えているぐらいのお客さんが入ったみたいですね。一番上の席(3階席?)はほとんどいませんでしたが、それ以外のところはほぼ埋まっていましたから。羨ましいですね。その客席の間に、さすがソニーと思えたのは、ビデオ・カメラがたくさん設置されていたことです。おそらく、そのあたりの専門の部署から人が来ているのかもしれませんね。ステージの上にはワンポイントのマイクが1本あるだけでしたので、録音はそれほど凝ったことはしていなかったのでしょうが、もちろんハイレゾで録音ぐらいはしていたのでしょう。
プログラムには、団員メンバーのほかに、こんな紙が挟まっていました。
ちょっとこれはすごいですよ。すべてのメンバーが、曲によってどこに座っているかが、全部わかるようになっているのです。これを見ると、まあ、管楽器がそれぞれのローテーションで変わっているのは分かりますが、弦楽器まで曲ごとにプルトが変わるんですね。ファースト・ヴァイオリンなどは全ての曲で場所が変わっていますよ。なんか、ちょっと不思議な発想ですね。それがソニーのやり方なのでしょう。身内が見に来た時には、場所が変わってもどこにいるかがわかって都合がいいかもしれませんね。
橘さんは、暗譜で指揮棒を持たずに指揮をしてました。1曲目の「フィガロ」が終わったところで、管楽器や打楽器の人をいちいち立たせていたのも、やはりソニーならではの配慮なのかもしれませんね。そのあとは、次の予定があったのでどうなっていたのかは見ていません。演奏はとても垢抜けていましたね。
プログラムには次回の予定が書いてありました。それは来年の6月にトリフォニーなのですが、その指揮者が新田さんでした。新田さんはこれが2回目のようですね。そして、序曲がゲーゼというのはいかにも新田さんらしいものですが、シンフォニーはメンデルスゾーンの「宗教改革」でした。ということは、これは「第1稿」で演奏する可能性が非常に高いですね。というか、新田さんだったら絶対「第1稿」でしょう。