おやぢの部屋2
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CONNISON/Pour Soutir au Jour
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Mathieu Dufour(Fl)
Stépahne Denève/
Brussels Philharmonic
DG/481 2711


1970年生まれのフランスの作曲家、ギヨーム・コニソンのオーケストラ作品を集めたアルバムです。彼は、シリアスな曲だけではなく、コマーシャル・ソングも仕事と割り切って作っています(業務コマソン)・・・というのはウソですが、彼の音楽のルーツは決して堅苦しいものではなかったことは事実です。実際、彼の初期の作品の中にはポピュラー・ミュージックの要素がかなり含まれていたようです。「ディスコ・トッカータ」というタイトルの曲なども作っていたそうですから。
コニソンは、音楽のジャンルだけではなく、国籍もボーダーを取り払っているようです。フルート協奏曲はフランス、「3部作」はドイツ、イタリア、ロシアというように、それぞれの作品には別の国に由来するテキストやモティーフが用いられている、というのが大きな特徴となっています。
「3部作」の1曲目はドイツ語で「Flammenschrift(炎の文字)」というタイトルです。なんでも、ベートーヴェンのイメージを通してドイツ音楽へのオマージュを試みた、ということですが、確かに激しく荒れ狂うような音楽には強い「ドイツ的」なインパクトが感じられます。もちろん、それだけでは終わらずに、中間にメロディアスな部分を設けることも忘れてはいません。委嘱はラジオ・フランス、初演は2012年にダニエレ・ガッティ指揮のフランス国立管弦楽団によって行われました。
2曲目のタイトルはイタリア語で「E chiaro nella valle il fiume appare」ですから、谷や川が明るく姿を現すような情景が描かれているのでしょうか。まさに、これはイタリアの風景の美しさを音楽で表現したものなのだそうです。というより、ドイツの作曲家のリヒャルト・シュトラウスが作った「アルプス交響曲」とよく似たテイストが感じられます。確かにアルプス山脈はイタリアまでカバーしていますからね。こちらはブザンソン国際音楽祭からの委嘱で、初演は2015年、ブザンソン国際指揮者コンクールの3人のファイナリストがバーゼル交響楽団を指揮したのだそうです。
最後の曲のタイトル「Maslenitsa」は、ロシア語の固有名詞で「マースレニツァ」という、毎年春に行われるお祭りを指し示す言葉です。これはもう、例えば運動会のかつての定番、カバレフスキーの「ギャロップ」とかハチャトゥリアンの「剣の舞」といったイケイケの明るい音楽を連想させるようなテイストです。中間部で少し暗めの部分が登場するのもお約束、ここはムソルグスキーの「展覧会の絵」の「カタコンブ」あたりの影響でしょうか。ボルドー・アキテーヌ管弦楽団とベアルン地区ポー管弦楽団からの委嘱で、2012にそれぞれのオーケストラによって初演されています(指揮はアレクサンドル・ラザロフとフェイサル・カルイ)。
そして、アルバム・タイトルにもなっているのが、5つの部分が連続して演奏されるフルート・ソロとオーケストラの作品「死者の書」です。これは、もちろんエジプトで死者とともに埋葬される死後の世界を語った書物が題材になっていて、音楽もエジプト風のスケールやモティーフがふんだんに使われています。5拍子とか7拍子といった変拍子も頻繁に登場する中で、フルートがアクロバティックなフレーズを披露するという、これはストラヴィンスキーの「春の祭典」あたりを髣髴とさせる曲調です。最後に出てくるダンスは、まるで日本のお祭りのお囃子のように聴こえてしまうのも、なにか親しみを持たせてくれる計らいです。
ソロは、長らく務めたシカゴ交響楽団から、2015年にアンドレアス・ブラウの後任としてベルリン・フィルに移籍したマテュー・デュフォーです。彼の名人芸には、もう舌を巻くしかありません。シカゴ響とフランス国立管からの委嘱で、デュフォーに献呈されています。もちろん彼のソロによって2014年にデュトワ指揮のシカゴ響で世界初演、2015年にエッシェンバッハ指揮のフランス国立管によってフランス初演が行われています。

CD Artwork © Decca Records France

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by jurassic_oyaji | 2017-09-14 20:41 | フルート | Comments(0)