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The Sound of the King's Singers
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The King's Singers
WARNER/0910295764012


「キングズ・シンガーズ」が公式に誕生したのは1968年5月1日ですから、来年には彼らは50周年を迎えることになります。もちろん、創設時から解散までの63年もの間、同じメンバーが半分は居続けたという「デューク・エイセス」のようなコーラスとは違って、長い人で26年、短い人だとほんの数年で後進に道を譲ってきたこのグループでは、この時のメンバー(スタート時は6人編成でした)はもはや誰も残ってはいません。つまり、全てのパートが現在は4代目か5代目に替わっているのですね。こんな感じで、彼らはこれから先も適宜メンバーチェンジを重ねつつ、活動を続けていくのでしょう。ですから、「デューク」の63年というギネスものの記録も、いずれは簡単に破られることでしょう。余談ですが、「デューク」の場合は、交替メンバーの人選を誤りさえしなければ、もっと「長生き」出来たのでは、という気がします。現在のトップテナーは最悪でした。
「キングズ」の場合も、明らかな人選ミスがあったため、その人が在籍した10年ほどの間は、明らかにグループのクオリティが落ちていたな、というのは、あくまで個人的な感想です。
そんな「50周年」がらみなのでしょうか。このグループが最初に所属していたEMIを買収したWARNERから、こんな3枚組のアルバムが出ました。10年近く前のEMI時代にこんなコンピレーションが出ていましたが、今回はオリジナル・アルバムをそのまま復刻したものになっています。ブックレットには最初にEMIに録音した時のメンバーの写真が載っていますし、デジパックではそれぞれのアルバムのオリジナル・ジャケットを見ることが出来ます。
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1枚目は「マドリガル・ヒストリー・ツアー」、1984年に2枚組のLPでリリースされたものを1枚のCDに収めたものです。こちらでご紹介したように、同じ年のテレビ番組と連携して録音されたものです。これは、実は初出のCD(1989年)をすでに持っていました。今回はその時のリマスタリング・データをそのまま使っているようでしたね。これはなんたって彼らの魅力がもっとも味わえるレパートリーですから、何も言うことはありません。彼らの歌うマドリガルは、常に現代人にも共感できるエンターテインメントが込められています。それは、彼らが歌っていた曲をさる合唱団が偉い指揮者のもとで演奏している時に、なんてつまらない曲なんだろうと感じてしまうほどでしたからね。
2枚目は、「コメディアン・ハルモニスツへのトリビュート」という1985年のアルバム、先ほどのコンピに何曲かは入っていましたが、アルバム全部を聴くのはこれが初めてです。そもそも「コメディアン・ハルモニスツ」というのも初めて知りました。これは、ドイツの放送局との共同制作で、ドイツで1920年代から1930年代まで活躍したそういう名前の男声コーラスグループが歌っていたものを再現しています(彼らの演奏はSPレコードで残されています)。ドイツの民謡から、アメリカのスタンダード・ナンバーまでをレパートリーにしていたそうですが、キングズ・シンガーズが素晴らしいドイツ語のディクションで聴かせる早口言葉は最高です。
3枚目は、それに対してアメリカのヒットソングを集めた1989年のアルバムです。ここから、デジタル録音に変わっていますし、テナーがビル・アイヴスからボブ・チルコットに変わっているのが、最大の違い。そして、ここではアンドリュー・ロイド=ウェッバーのオーケストレーターとして知られるデイヴィッド・カレンがオーケストラのための編曲を行っています。これは、それこそ「ジーザス・クライスト・スーパースター」を思わせるような可憐、というよりはゴージャスな編曲が聴かせどころなのでしょうが、その分合唱の比重が少なくなっていて、シンガーズのファンには物足りない出来になっています。ですから、ここではチルコットの悪声はそれほど目立ちません。

CD Artwork © Warner Music Group Germany Holding GmbH

by jurassic_oyaji | 2017-09-19 18:23 | 合唱 | Comments(0)