おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
BRAHMS/Symphony No.1




千秋真一/
R☆Sオーケストラ
キングレコード
/KICC-555


千秋真一という、全く無名の指揮者のデビューアルバムが、殆ど「ブーム」と呼んでも差し支えないほどの注目を集めています。まるで、3匹の子豚(それは「ブーフーウー」)。それを受けたこのアーティストに対する扱いがいかに破格であるかは、今月号の「レコード芸術」でのこのレコード会社の広告の一番最初にあったものが、1ページをまるまる使った、このアルバムの宣伝コピーだったという事からも分かります。さらに、このアルバムは通常のCD店のみならず、何と書籍を扱う本屋さんの店頭でも販売しているのですから、この指揮者のファンというのは、クラシック音楽の愛好家といった範疇では全くとらえることのできない、大きな広がりを見せていることを窺い知ることが出来ます。
千秋真一は、1981年生まれといいますからまだ24歳、指揮者としてはまだまだ「半人前」という年齢ですが、フランスで行われたあの権威ある「プラティニ国際指揮者コンクール」で優勝したあとにはトントン拍子にキャリアを重ね、今ではパリの「ルー・マルレ」という1875年に創設された歴史ある「非常勤」オーケストラ(音楽監督は最近東京都響常任指揮者に就任したジェイムズ・デプリースト)の常任指揮者を務めるまでになっているのですから、その実力は恐るべきものがあります。その彼が、指揮者としての確固たる資質を世に知らしめたのが、殆ど伝説的な報道をされたR☆S(「ライジングスター」と読みます)オーケストラとのデビューコンサートでした。彼は学生時代から学内のオーケストラを指揮して、そのカリスマ的な魅力は知られていたといいますが、そんな彼の下で演奏したいという才能溢れる若者、千秋の大学時代の友人のみならず、千秋の評判を聞きつけて参加した海外のコンクールでの優勝者などで結成されたのが、このオーケストラです。彼らは千秋とは絶対的な信頼関係で結ばれており、そのコンサートは各方面で絶賛されることとなったのです。
今回のアルバムには、そのコンサートのメインプログラム、ブラームスの交響曲第1番が収録されています。ただ、これは、そのデビューコンサートのライブ録音ではなく、新たにセッションを組んで録音されたものです。最近のオーケストラの録音状況を見てみると、日常的に行われているのは、経費を少しでも節減するためにコンサートをそのまま録音して製品にするという安直な道、今回のように、CDのためにわざわざホールを借り切って録音するという事自体が、経費には目をつぶっても、より完成度の高いものを届けたいという制作者の良心の表れ、そして、それを引き出したのが、他ならない千秋の並はずれた才能なのでしょう。もちろん、その才能の中には、この情報社会で通用するだけの外的な魅力(「ルックス」とも言う)も含まれているのは、言うまでもありません。ご覧下さい、このジャケットのポートレート、「繊細でいて粗野」という、それだけで惹き付けられるものがありません?(しかし、なぜ写真ではなくマンガ的なドローイングなのでしょう)
その演奏は、まさに若さに満ちた爽快なものでした。それは、一つのことを信じてそれに向かって邁進する、という、「大人」が忘れかけているものを思い出させてくれる魅力を存分に味わうことが出来るものです。弦楽器の人数がちょっと少なめのため、ブラームスには欠くことの出来ない深みのある響きが全く出ていないとしても、それを補って余りある「力」を、私達はここからは感じるべきでしょう。
カップリングが、ちょっとしたお遊びなのでしょうが、千秋がコンクールで課された「間違い探し」を実際に音にしたものです。これを聴けば、彼がいかに優れた耳を持っているかが分かります。凡人である私には、109小節目からのティンパニしか見つけることが出来なかったのですから。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2005-09-28 20:06 | オーケストラ | Comments(1)
Commented by 伊達 at 2005-10-03 20:20 x
こんにちは。
関心しているのか、皮肉っているのか、加減が絶妙ですね。