おやぢの部屋2
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Feels Good





TAKE6
AVEX/YICD-71005



1988年にWARNER傘下のREPRISE(リプリーズ)という匂い消しのような(それは「ファブリーズ」)レーベルからデビューしたア・カペラグループ「テイク・シックス」は、2002年の「Beautiful World」までに8枚のオリジナルアルバムと1枚のライブアルバム、そして1枚のベストアルバムと、全部で10枚のアルバムをリリースしています(国内規格でもう1枚ベストアルバムが出ました)。そのデビュー作「TAKE6」を聴いて彼らの完璧なハーモニーに魅了された私は、たちまち大ファンになってしまいました。何より驚いたのは、それまで私が愛して止まなかった「ザ・シンガーズ・アンリミテッド」という4人組のコーラスグループが多重録音で時間をかけて作り上げた、多くの声部が入り交じった精緻なハーモニーを、6人のメンバーがいともやすやすと「一発録り」で成し遂げてしまっていたことです。そのアルバムに収められていたスピリチュアルズの持つ敬虔なテイストも、魅力的なものでした。その時、私はスタジオでしかなしえなかった「アンリミテッド」の世界をリアルタイムに再現する卓越したジャズコーラスグループの誕生を知ったのです。
しかし、彼らの音楽の方向性は、「ジャズ」のテクニックは維持しつつも、やはり「R&B」であったことは、それ以後のアルバムから窺えるようになります。次第にア・カペラだけではなく、しっかりファンキーなバンドがバックに入るようになってくると、その印象はさらに強まってきました。ですから、この「おやぢの部屋」を始めてからも新しいアルバムは出ていたのですが、いまいち、紹介する気にはなれなかったのです。
そんな彼らが2004年、古巣REPRISEを離れ、自分たちのレーベル「TAKE6 RECORDS」を創設します。そんな新しい環境での第1作がこれ、まさに原点回帰といった趣の全曲ア・カペラというアルバムだったのには、喜びもひとしおです。まるで、ちょっと浮気をしていた恋人が、出会った時のままの初々しさで戻ってきた(あ、あくまでたとえですからね)ような嬉しさが、そこにはありました。
このアルバムの中での私のベスト・トラックは、「Family of Love」という、まさに「アンリミテッド」のセンスが全開のソフトなナンバーです。ここで繰り広げられているハーモニー・ワークの素晴らしいこと。まるで夢のようなひとときが体験できることでしょう。「Lamb of God」というスピリチュアルズ・テイストの曲も良いですね。このタイトル、ラテン語だと「Agnus Dei」、そんな格調高いヨーロッパのミサ曲にも拮抗できうるほどの世界観が、ここにはあります。びっくりしたのは、「Just in Time」というスタンダードナンバーのカバー。これは、まさに「アンリミテッド」が1977年の同じタイトルのアルバムで取り上げていた曲ではありませんか。スクラッチノイズの入ったローファイなどというお遊びも交えて、それは確かに彼らの先達へのオマージュになっています。
そして、日本盤だけのボーナス・トラックが、三木たかしが作った「Flowing with Time」という、最近よく耳にする曲です。メロディーの美しさが、テンション・コードの中で見事に生かされた素敵なアレンジ、こういうものを聴いてしまうと、彼らの音楽はジャズもR&Bも飛び越えたもっとグローバルなものであることに、自ずと気づかされてしまいます。


2000年6月1日にテレマンの「イエスの死」で始まった「おやぢの部屋」も、今回でめでたく1000アイテム目を迎えました(902番目からは「2」となって、ブログでも公開されています)。ここまで続けてこられたのも、ひとえに皆さんのおかげです。ありがとうございます。5年という年月の中では、「おやぢ」を取り巻く状況も大きく変わらざるを得ませんでした。なによりも、この1000回目をピアノ曲やリートで飾れなかったのが心残りです。しかし、先ほどの曲の邦題(って、こちらが原曲ですが)「時の流れに身をまかせ」というスタンスで、これからもずっと続けていきたいと思っていますので、なにとぞよろしくお願いします。
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by jurassic_oyaji | 2005-10-02 20:53 | ポップス | Comments(1)
Commented by Flamand@擬藤岡屋日記 at 2005-12-03 23:01 x
はじめまして。TBありがとうございました。

興味惹かれる記事を綴っておられるようなので、
一度じっくりと拝見させて頂きたいと存じます。

よろしくお願いします。