おやぢの部屋2
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MOZART/46 Symphonies




Alessandro Arigoni/
Orchestra Filarmonica Italiana
MEMBRAN/203300-321



モーツァルトが作った「交響曲」というのは、いったい何曲あるのでしょうね。今時、最後の交響曲が「41番」だから「41曲」だなどという人は、いるはずがないでしょう。そもそも、この番号にしてもモーツァルト自身が付けた番号では決してないことはもはやよく知られた事実です。8歳の子供が「これは私の交響曲第1番だ」などと言っていたりしたら、かなりキモイものがありません?
最初にこの番号を付けたのが誰なのかは、私には分かりませんが、いずれにしても、そこにモーツァルトの意志が反映されていたことは全くあり得ません。研究が進むにしたがって、偽作であることが判明したり、新しい作品が発見されたりと、交響曲に限らずモーツァルトの作品目録自体が現在では大きな混乱のなかにあります。そもそも「交響曲」という概念すらも研究者によってさまざまな解釈がなされていますから、はっきり言って交響曲が何曲あるかなどということは誰にも分からない、と言うのが現状なのです(たとえば、クリストファー・ホグウッドの「交響曲全集」には全部で69曲の「交響曲」が収録されています)。
10枚組で1689円(税込み)という、とても信じられないような価格で出回っている、このアレッサンドロ・アリゴーニという人が指揮をした、トリノにある「フィラルモニカ・イタリアーナ」というオーケストラの全集には、46曲の交響曲が入っています。まあ、このあたりの数字が最近の標準的な解釈なのでしょう。ところが、ここでまた見慣れないものが。「交響曲第42番」とか、はては「交響曲第55番」などという「41番」が最後だと思っていた人を欺くような番号が見られるではありませんか。モーツァルトが最後の交響曲を作ってから亡くなるまでの3年間に10曲以上の交響曲を作っていたことが、最近になって明らかになったのでしょうか。もちろんそんなわけはなく、これは今まで番号を振られていなかった若い頃の作品に新たに番号を振ったもの、さっきの「55番」とは、一時偽作とされていた「K45b」のことだったのですね。実はこの番号、大分昔から密かに使われてはいたもののようで、現在でもまだ見かけることがあります。せっかくケッヘルが年代順になっているのに、こんな付け方をしてしまったのは大問題。どうしても付けたいのなら「7a番」とかにしてくれればよかったものを。
とにかく、そんな「裏番号」を知ることが出来たのが、このセットの一つの収穫でした。もちろん、それだけではありません。こんな値段ですから、ライナーノーツもなければ録音データも一切ありませんが、逆に全く先入観なしで聴くことができます。そこで聞こえてきたものは、近頃の主流である「ピリオド・アプローチ」には完全に背を向けた、いかにもおおらかなモーツァルトだったのです。人数は少なめでしょうが、弦楽器は思い切りビブラートをかけて歌いまくっています。なによりもすごいのが、まるでロッシーニのようなクレッシェンド。「39番」の序奏でティンパニのロールが華々しくフォルテシモまで迫ってきた時には、思わずスコアの間違いかと思ってしまったほどです。昔はこれが当たり前だったモーツァルトのちょっと懐かしい演奏様式、時代が巡ってそろそろ「揺り返し」が来ているのかもしれません。あまりにもおおらか過ぎて、アンサンブルに難があるのは、まあ演奏の勢いに免じて、許すことにしましょう。ただ、全てのリピート(繰り返し)を省いているのは、ちょっとさもしい気もしますが。メヌエット楽章までリピートがないと、まるで別の曲のように聞こえるから、不思議です。「41番」の第1楽章ではまるまる4小節抜けてますし(編集ミスでしょう)。ですから、いくら「40番」のテンポが異常に遅くても、曲を聴き終わるスピードは速くなるのです。
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by jurassic_oyaji | 2005-10-24 19:31 | オーケストラ | Comments(0)