おやぢの部屋2
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VERDI/La Traviata
Anna Netrebko(Sop)
Rolando Villazon(Ten)
Thomas Hampson(Bar)
Carlo Rizzi/Wiener Philharmoniker
DG/477 5936
(輸入盤)
ユニバーサル・ミュージック
/UCCG-1274/5(国内盤 12月7日発売定予定)


今年8月のザルツブルク音楽祭でのライブ録音が、早くもCDになって登場です。「ニューイヤーコンサート」などとは異なり、オペラの場合は編集などに相当な時間がかかるはずなのに、こんな素早いリリース、らいぶ、無理をしたのではないでしょうか。
この公演は、日本のテレビなどでも大々的に紹介されていましたから、現地での評判はものすごいものだったことでしょう。なんと言っても、その評判の立役者はヴィオレッタ役のアンナ・ネトレプコ、人気に於いては、完全に彼女1人が独占したということは、多くの人が言及していましたね。指揮者が、予定されていたマルチェロ・ヴィオッティの急逝にともなってカルロ・リッツィに変わったのも、一つの話題でした。
ネトレプコとともに話題を呼んだのが、アルフレード役のヴィラゾンです。まさに美男美女と言い切って構わないこの組み合わせ、新しい世代のスーパースターの登場と、マスコミはこぞって煽り立てたのでした。初日の模様はORFによってテレビで生中継されたと言いますから、これをそのままDVDなどの映像で堪能できれば、ヴィジュアル的な醍醐味を味わうことができるのでしょうが、歌手の契約上の問題から、当分発売されることはないだろうというのは、CDショップのお兄さんの話、まあ、とりあえず音だけで、この公演の模様を楽しむことにしましょう。とは言っても、レコード会社の「スタジオ録音に近いものを提供したい」という良心のあらわれなのでしょうか、「ライブ」では当然あるはずのアリアの後の拍手などが、きれいさっぱりカットされているのには、ちょっと驚いてしまいました。前奏曲が始まるのと同時にステージの足音などが派手に聞こえてくるのですから、そんな小細工は殆ど意味のないものになってしまうのですがね。実際、これだけの会場の雰囲気がたっぷり入った録音から拍手だけが消えていると、逆にものすごく不自然なものに感じられてしまうから、不思議です。
その若い2人、ネトレプコの方にはもはやカリスマ的な風格さえ漂っているのはさすがです。なによりすごいのは、このオペラを彼女1人の力で仕切ってしまっているということです。「乾杯の歌」など、ちょっと軽めのテンポで始まったものを、彼女はものの見事に自分のテンポに持って行ってしまっているのですから、すでに指揮者すらも自分の支配下に置いているのが分かります。その突き抜けるような高音の力で、最後まで、まさにプリマドンナの貫禄を示し続けてくれました。ただ、相手役のヴィラゾンがちょっと「格」が違うのでは、と思わざるを得ないような出来だったのは、残念でした。独特の甘い声は魅力的ではあるのですが、いかんせん音楽的な「力」が決定的に不足しています。ネトレプコとのデュエットでは、とうとう最後までかみ合うことなく、情けなさだけが露呈してしまっていました。
私にとっては、この公演の最大の収穫はジェルモン役のハンプソンでした。今まで聴いてきたジェルモンとは全く異なる明るい声のバリトンは、ここで、思っても見なかったような強烈な存在感を示してくれたのです。圧巻は第2幕のヴィオレッタとの二重唱。本来は田舎ものの親父が無理難題をふっかけるというシチュエーションなのでしょうが、これをハンプソンの美声でやられると、とても優しく諭されているように思えてしまいます。この優しさがあったからこそ、ネトレプコのちょっとヒステリー気味の演技がきちんと意味を持つことが出来たのではないでしょうか。
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by jurassic_oyaji | 2005-11-14 20:50 | オペラ | Comments(0)