おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOZART/Concertos for Winds

Jacob Slagter(Hr)
Emily Beynon(Fl)
Gustavo Núñez(Fag)
Alexei Ogrintchouk(Ob)
Concertgebouw Chamber Orchestra
PENTATONE/PTC 5186 079(hybrid SACD)



モーツァルト・イヤーの幕開けに相応しい、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の木管楽器の首席奏者4人が、このオーケストラのメンバーからなる室内アンサンブルをバックにモーツァルトの協奏曲を演奏したというアルバムです。ホルンのスローターは協奏曲第1番、フルートのバイノンも第1番、そして、ファゴットのヌニェスとオーボエのオグリンチェクは、それぞれただ1曲しかない協奏曲を演奏しています。アンサンブルの弦楽器の編成は5、5、4、3、1という(もちろんプルトではなく、本数)かなり小さなものです。コンサートマスターのクレジットはありますが、特に指揮者は立ててはいません。
まず聞こえてくるのが、さる節約番組でお馴染みのホルン協奏曲第1番のイントロです。この優雅なテーマから、あの貧相な食事を連想させるというのは、まさに究極のジョーク、この曲を選んだ番組のスタッフのセンスには脱帽です。それはともかく、ここでこのオケが仕掛けている自発的な音楽にも、また脱帽させられてしまったのは、ちょっと迂闊でした。これは、指揮者がいないのだから、オケはソリストのバックを淡々と務めるだけなのだろうと思っていた私の完全な誤算、もちろん、それはとても嬉しい誤算でした。下手な指揮者が仕切るよりもずっとしなやかな、ソリストとオケがそれぞれを主張しつつ、緊密なアンサンブルを作り上げるという理想的な協奏曲の姿が、そこにはあったのですから。
そのホルン協奏曲では、軽快なテンポに乗って、スローターのまろやかな音色のホルンが縦横に駆けめぐります。華やかさこそないものの、しっかりとアンサンブルに溶け込んだ演奏は、堅実さがもたらす頼もしさを味わわせてくれます。
そのスローターは、他の曲ではオケの中で吹いてくれています。ですから、2曲目のフルート協奏曲では、普段だったら気にもとめないホルンのフレーズが、とても魅力的に聞こえてきたものです。そんな贅沢な(こんな少人数なのに、弦楽器のまろやかな音色はどうでしょう)バックに乗って聞こえてきたバイノンのフルートは、これも予想を裏切られる驚きを伴っていました。ここで私が初めて体験した彼女のモーツァルトには、ソロで見せてくれる華麗なイメージとはちょっと異なる、渋い世界が広がっていたのです。言うまでもなく、これも、心地よい裏切り、ロマンティックな演奏からは一線を画したその禁欲的なテイストからは、ある種の厳しささえ漂う強靱なメッセージが伝わってきました。モダン楽器によるモーツァルトの、一つの解答がここには見られるはずです。
そこへ行くと、ファゴットのヌニェスの音楽は、もう少し楽天的、この楽器の持つ明るいキャラクターを存分に示してくれるような演奏です。第3楽章での、バックのオケをも巻き込んだノリの良さったら。
最後は、オーボエのオグリンチェク。この人も確かなパッションを秘めている、と見ました。特に第2楽章のたっぷりした歌い上げは惹き付けられます。たまに自分の世界に入り込みすぎて周りが見えなくなるような時があっても、まわりの仲間たちがしっかりそれをフォローしてくれるのですから、なんの心配も要りません。そう、そんな火花を散らすようなやりとりまでもがしっかりと収録されているこのセッション、スタジオ録音ではあっても、ライブの緊張感にドライブされた素晴らしいものに仕上がっていますよ。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2006-01-01 19:23 | フルート | Comments(0)