おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem, Mass in C Minor





B.Bonney(Sop), A.S.von Otter(MS)
A.Rolfe Johnson(Ten), A.Miles(Bas)
John Eliot Gardiner/
Monteverdi Choir
English Baroque Soloists
PHILIPS/074 3121(DVD)



1991年の「没後200年」に、バルセロナの「パラウ・デ・ラ・ムシカ・カタラナ(カタルーニャ音楽堂)」というところで行われた演奏会のライブです。以前からさまざまな媒体で出ていた映像素材ですが、「生誕250年」に合わせて、輸入盤DVDが発売になりました。モーツァルトの「レクイエム」と「ハ短調ミサ」が1枚に収録されているという、ファンにはたまらないアイテムです。
まず、DVDならではの楽しみ。この素晴らしい演奏会場の映像を、心ゆくまで楽しむことにしましょう。1908年に完成した、殆ど工芸品と言っても差し支えないような美しいコンサートホール、石をふんだんに使ったまるでカテドラルのような内装と、ステージのまわりの装飾には目をひかれます。客席も、高々とそびえるバルコニーと、ステンドグラスで覆われた天井からつるされたシャンデリアが見事です。まさに、ホール自体が一つの芸術、この収録後の1997年には、世界遺産に登録されたというのも納得です。
さらに、映像では音だけでは分からないような演奏上の「秘密」が分かるのも、もう一つの楽しみです。この場合、「ハ短調ミサ」が、私にとってはさまざまな好奇心を満たしてくれるものでした。ご存じのように、この曲は未完に終わったものですから、演奏にあたっては後の人が手を加えたものが使われることになります。ガーディナーが使っているのが「シュミット/ガーディナー版」という、ちょっと珍しいもの、これは欠落している部分をモーツァルトの他の作品などで補填し、さらにオーケストレーションにも手を入れたという「シュミット版」をベースに、ガーディナー自身がさらに手を入れた、というものなのでしょう。正確には、シュミット版から、悪趣味と思われる余分なものを取り除いた、と言うべきでしょうか。CDでも彼の演奏では、シュミットが加えた曲は全てカットされています。これを映像で確認してみると、確かに彼の譜面台の上に置いてあるスコアは分厚いシュミット版、そして、その開き方を見てみると、「クレド」の2曲目が終わったところでかなりのページを飛ばしているのがよく分かります。もちろん、オーケストラの楽器編成も、しっかり確認できますから、シュミットが加えたフルートやクラリネットが除かれているのがよく分かります。
ただ、その2曲目の「Et incarnatus est」では、オーボエ、ファゴットの他に、フルートがオブリガート楽器として加わることになっています。全体の曲の中でフルートが登場するのはこの部分だけ、今の我々の感覚でしたら、なぜこの1曲だけのためにフルートを用いたか、と言う疑問が起こるはずです。確かに、実際の演奏会ではフルート奏者は出番まで何もしないでステージ上で待っているのでしょうが、ここで、きちんと編集された映像ならではの秘密が見られます。この曲になると、2番オーボエの席にいきなりフルート奏者が座っているのです。本来、モーツァルトの時代には、オーボエ奏者がフルートを持ち替えて演奏するというようなことは、普通に行われていました。それを、こういう形で再現して見せたのですね。もちろん、分業化が進んだ現代では両方の楽器で同じクオリティを保つのは不可能ですから、演奏者は入れ替えた、と言うわけです。
と、マニアックなことばかり書いていると「余分なものが多すぎる」と叱られそうですね。いや、そんな「余分な」ものは、実はこの素晴らしい演奏の前に言葉を失ってしまった私の、ある種の照れ隠しと受け取って下さいな。ここでのガーディナーの演奏、合唱といいソロといい、なんと素直に心の中に入り込んでくることでしょう。先ほどの「Et incarnatus est」でのボニーの歌など、うっとりして聞き惚れるばかり、まさに至福の一時を味わうことが出来ました。
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by jurassic_oyaji | 2006-01-08 20:48 | 合唱 | Comments(0)