おやぢの部屋2
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VERDI/Messa da Requiem






L.Price(Sop), F.Cossotto(Alt)
L.Pavarotti(Ten), N.Ghiaurov(Bas)
Herbert von Karajan/
Coro e Orchestra alla Scala
紀伊國屋書店/KKDS-244(DVD)


以前、さまざまな形で出されていたユニテル(「ウニテル」というべきでしょうか)によるカラヤンの映像が、DVDとなって紀伊國屋からまとめてリリースされています。アンリ・ジョルジュ・クルゾーが監督をしたというこのシリーズ、ただ、「指揮の芸術」という形で、演奏だけでなくインタビューまで含めてのパッケージとしては、今回初めて出てくるぞー、というのはメーカーの言い分です。もっとも、ここでご紹介するヴェルディのレクイエムに関しては、もともとインタビューは収録されてはいなかったということで、これがそもそもの完パケということになります。
さて、この映像は、1967年の1月に行われた、ミラノのスカラ座でのトスカニーニ没後10周年の記念演奏会と同じ時期に収録されたものです。ライブのコンサートは2回行われたのですが、その間のオフの日に、スカラ座の客席にわざわざ足場を組んでカメラを設置し(それは、オープニングですぐ目に入ります)撮影が敢行されました(コシマキには「刊行」となっていますね)。もちろん、演奏メンバーは同じなのですが、テノールだけが、コンサートでのカルロ・ベルゴンツィからパヴァロッティに変わっているというのが、興味深いところです。契約上の問題(ベルゴンツィはDECCA専属?)ということなのですが、そこで急遽抜擢されたパヴァロッティの初々しい映像が、ここでの最大の見所となりました。まず、顔からして違います。

なんでも、リハーサルもコンサートのためには行われたものの、パヴァロッティが参加したこの撮影のセッションは殆どぶっつけ本番だったとか。最初のうちの、譜面にかぶりつきの彼の姿からは、後年のあの周囲を威圧するオーラなどは微塵も感じることは出来ません。声もいかにも萎縮したものです。しかし、さすがはパヴァロッティ、後半になると見違えるほど歌に力がみなぎってくるのが手に取るように分かります。このあたりのドラマティックなまでの変化を、殆どドキュメンタリーのように、今回は楽しむことが出来ました。
もちろん、現在でもこれだけのレベルの歌手を一堂に集めるのは難しいほどの、プライス、コッソット、ギャウロフという夢のようなスターが、カラヤンのもとで繰り広げるアンサンブルの素晴らしさは驚異的。そして、カラヤンの作り出す、決して華美に走ることのない味わい深い音楽は、まさに絶品です。後の、カラヤン自身の演出による映像だったら絶対にあり得ないような、例えばティンパニの後ろでカラヤンはフォーカスアウトしているカットなども、貴重なものです。
ちなみに、この映像は今まで、NHKのBS放送や、CSのクラシックチャンネルでは何度も繰り返しオン・エアされていたものです。さらに、古くはVHD、そしてLDや最近では輸入盤のDVDでも市場に出ていたことがありました。しかし、今回はいままでPALだったマスターを新たにNTSCでテレシネし直したものが使われているそうで、その結果収録時間が4分も長くなったということです。
真偽のほどは定かではありませんが、以前BSで放送されたものを録画したVHSと、このDVDを比べてみれば、その違いには歴然としたものがありました。ピッチの違いまでは私の耳で確認することはちょっと無理でしたが、映像に関しては、前に「バングラデシュ・コンサート」で感じたのと同じように、なにか遠い世界で行われているモヤモヤとしたものが、いきなり現実味を帯びて迫ってきたというショッキングなものでした。音声も、いかにもサウンドトラックという怪しげな音から、DGのギュンター・ヘルマンスによる素晴らしい音に生まれ変わっています。
マスタリングによりこれほどの違いが出るということで思い出したのが、以前酷評したプラハ・スタヴォフスケー劇場での「ドン・ジョヴァンニ」の韓国版DVDです。この度国内盤で発売されたDVDは、まるで別物、音と映像もきちんとシンクロされていて、やっと本来の形で鑑賞することが出来るようになりました。もっとも、それだからといって演奏に関しての印象が変わることはありませんが。

DENON/COBO-4471/2
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by jurassic_oyaji | 2006-01-10 19:49 | 合唱 | Comments(0)