おやぢの部屋2
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BACH/Violin Concerto, Double Concertos

Midori Seiler(Vn)
Xenia Löffler(Ob)
Raphael Alpermann(Cem)
Stephan Mai/
Akademie für Alte Musik Berlin
HARMONIA MUNDI/HMC 901876



バッハの作品は非常に厳格で重々しいものである、という言い方は、かつては良く耳にしたものです。何と言っても「音楽の父」ですから、そこには権威あるクラシック音楽のまさに源を担っている、神聖で犯しがたいものが存在する、といった評価ばっはりが強調されていた時代が、確かに存在していたのですね。しかし、おそらくバッハ本人にしても迷惑だったに違いないその様なイメージは、このところはかなり陰を潜めるようになってきたのは嬉しいことです。何しろ、彼ときたら、2人の奥さんとの間に20人もの子供をもうけたというほどの「情熱家」なのですから、そんな堅苦しい人物であったわけがありません。
そんな、格式張らないバッハの姿を味わいたいのなら、このアルバムなどはまさにうってつけではないでしょうか。ここからは、ベルリン古楽アカデミーのメンバーが、バッハの音楽を心から楽しんで演奏している様子が活き活きと伝わってきます。
そもそも、ここで選ばれている曲自体が、ある種の「軽さ」を持っているものでした。この4曲の協奏曲たちは、現在では「チェンバロ協奏曲」とカテゴライズされていますが、本来は弦楽器や管楽器のための協奏曲だったものを作り直したという出自を持っているのです。このような「再利用」は、カンタータなど、彼の他の作品でも見られる常套手段、それだけで、「厳格」とは正反対のちょっとさもしいイメージがわき起こってはきませんか?
1曲目のBWV1052は、元のヴァイオリン協奏曲の形にもどしたものです。ここでソロを取っているミドリ・ザイラーが、エマニュエル・バッハによって編曲されたチェンバロ協奏曲などを参考にして、ソロパートを修復したということです。彼女のイマジネーションあふれる演奏は聴きもの、特にカデンツァの見事さには圧倒されてしまいます。
2曲目はBWV1062、有名なニ短調の2つのヴァイオリンのための協奏曲(BWV1043)を、ハ短調に直したものです。この曲の場合、独奏楽器がヴァイオリンからチェンバロに変わったことにより、原曲が持っていたある種の粘着質の部分がさっぱりと消え去ったことに気づかされるに違いありません。特に第2楽章など、2台のチェンバロの対話は思い切り即興性を発揮したバトルのように聞こえてしまいます。
3曲目のBWV1057は、なんとブランデンブルク協奏曲第4番(BWV1049)の作り替え、ヴァイオリンと2本のリコーダーという元の編成から、リコーダーはそのまま残してヴァイオリンをチェンバロに変えた、というものです。ここでは、各楽器の役割分担が少し変わっている、というのも興味深いところです。
最後のBWV1060は、すでに、ヴァイオリンとオーボエという、修復された元の形の方がよく知られるようになっているのではないでしょうか。ここでも、ザイラーのかなりアグレッシブなヴァイオリンに、ちょっとおっとりしたレフラーのオーボエがからんで、なかなか良い味を出しています。
厳寒の続く季節ですが、このアルバムに誘われて春が近づいてきたよう。温かい、爽やかな演奏ですよ。
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by jurassic_oyaji | 2006-01-20 20:09 | オーケストラ | Comments(0)