おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem & Symphony No.36


Kate Royal(Sop), Karen Cargill(Alt)
Robert Murray(Ten), Matthew Rose(Bas)
Jiri Belohlavek, Walter Weller
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BBC Symphony Orchestra & Chorus
BBC MUSIC/BBC MM262



ヘル・モーツァルト、お誕生日おめでとうございます!あなたが生きておられたら250歳ですね。「BBC Music Magazine」という音楽雑誌に、BBCが放送用に録音した音源が付録CDで付いているのですが、今月号にはあなたの「レクイエム」のライブ録音と、「リンツ」のスタジオ録音のものが入っていましたよ。
1995年から首席客演指揮者を務め、今年の「プロムス」からは晴れてこのBBC交響楽団の首席指揮者のポストに就く事になっているビエロフラーヴェクが指揮をした「レクイエム」、実は、さる筋から「バイヤー版」で演奏されているという情報を得たものですから、わざわざ取り寄せてみることにしたんです。あなたの死後にいろいろな人が手を入れたこの曲のコレクションが、また1枚増えた事になります。
しかし、単にリストを充実させるためだけに入手したこのCDを聴いてみると、そんな私の不純な動機が恥ずかしくなるような素晴らしい演奏だったのには、ちょっと焦ってしまいましたね。
冒頭の「Requiem aeternam」での、重々しい歩みを聴いただけで、ビエロフラーヴェクが目指している音楽がかなり深いものである事が予想されてきますよ。それほどに、指揮者とオーケストラが一体となった「悲しみ」が伝わってきたのですね。それを受けたソプラノソロも、その思いをきちんと受け止め、決して過剰にならない「訴え」を歌に乗せていました。ただ、この段階では合唱がそこまでの境地に入っていないのが、ちょっと惜しいところだったでしょうか。いかにも表面的な歌い方には、「違うな」という感を抱いてしまったのですよ。
ところが、「Dies irae」に入ったあたりから、その感じが払拭されて合唱にも徐々に指揮者のパトスが乗り移ってきたではありませんか。このあたりが、ライブのおもしろさなんでしょうね。それまではちょっとよそよそしかったものが、何かをきっかけに一体となった表現の仲間入りをしてきて、全体が一つの方向を向いた主張を始めるようになってきたのですね。あなたがダイナミックスを書き込まなかったようなところに加えられた、ほんのちょっとした歌い方の工夫(ベースのパートソロで「Quantus tremor est futurus」と始まる部分)が、しっかり私達の耳をとらえて、新鮮な表現に感じられたのです。それは、このように全員の心が一つになった時に、初めて訴える力を持つものなのかも知れませんね。自分のエゴを、さもあなたが望んだものであるかのように押しつけるアーノンクールのような人が同じ事をやってもなんの感興もわかないのは、きっとそのあたりの違いなのでしょう。
Tuba mirum」になると、ソリストたちにも驚かされるはずですよ。バスのローズの声の立派な事。そして、他の人達も同じような立派さのベクトルを持っている上に、アンサンブルでも誰かが飛び出すという事がなく、全く同じ方向を向いているという素晴らしさです。
後半に向けての盛り上げも、すごいものがあります。「Sanctus」で一旦軽いテンポで意表を衝いたかと思うと、次の「Benedictus」では一転してしっとりと聞かせるといった具合です。あ、これはあなたが作ったものではありませんでしたね。でも、このように共感を持って演奏されると、あなたの弟子もなかなかのものだったと思ってしまいますよね。曲が終わって最後の和音が鳴り響いたあと、しばらく静寂が続いた後に訪れる温かい拍手。この拍手まで含めて、確かに良い演奏を聴いたという余韻に浸れるはずですよ。
カップリングが、ワルター・ヴェラーという渋い指揮者の「リンツ」ですが、これもオーケストラの弦楽器の響きを上手に導き出して、とても温かい演奏を聴かせてくれています。
このCD、あなたの頃の習慣とはちょっと違った演奏様式かも知れませんが、もし聴いて頂けるようなことがあれば、きっと満足されると思いますよ。駄洒落好きのあなたにはとても太刀打ちできませんから、きょうの「おやぢ」は勘弁して下さいね。
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by jurassic_oyaji | 2006-01-27 20:42 | 合唱 | Comments(0)