おやぢの部屋2
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MOZART/The Great Mass ・ A Ballet by Uwe Scholz



Leipzig Ballet Company
Eunyee You, Marie-Claude Chappuis(Sop)
Werner Güra(Ten), Friedemann Röhlig(Bass)
Balázs Kocsár/
Choir of the Leipzig Opera
Gewandhausorchester Leipzig
EUROARTS/2054608(DVD)



このところ、モーツァルトの「ハ短調大ミサ」を取り上げる事が多くなっています。全くの偶然なのでしょうが、なぜか最近この曲の新譜が集中してリリースされており、しかも、それぞれに演奏される版が異なっていたり、映像が入っていたりするものですから、つい、こういうものが大好きな私としては紹介しないわけにはいかなくなってしまうのです。それが昂じて、今回はなんと「バレエ版」ですよ。
このDVDは、ライプチヒ歌劇場で2005年6月に行われたライプチヒバレエ団の公演のライブを収録したものです。ここでの振り付けも行っていたウーヴェ・ショルツという振り付け師が、2005年の11月に45歳という若さで亡くなってしまいましたが、この公演は彼への追悼の意味が込められたものとなっています。
バレエ音楽として作られたものではない曲でバレエを踊るという彼のコンセプト、ここで使われているのが「ハ短調ミサ」という事になります。さらに、未完のこの曲を完結させるため彼が取ったのが、「アダージョとフーガ」や「アヴェ・ヴェルム・コルプス」といったモーツァルトの他の作品だけでなく、他の作曲家の曲を間に入れるというアイディアでした。そこで使われたのが、ジェルジ・クルタークの「ヤーテーコクとバッハのトランスクリプション」、トーマス・ヤーンの「場所と時代から」、そしてアルヴォ・ペルトの「クレド」です。思いがけず、ここでまた一つ新しい「版」に出会える事になってしまいました。
この公演、通常のバレエの公演のようにオーケストラ・ピットにはオーケストラが入っていますが、その両サイドに合唱団が陣取っている、というのがちょっと普通と変わっているところです。ここでは、単なる伴奏としての演奏ではなく、きちんとしたコンサートと変わりない環境での演奏を目指しているように思われます。カメラもダンサーだけではなく、合唱やソリストも同じ比重で捉えている事からも、その方針は明らかでしょう。そのダンスは、「ミサ曲」に関しては、非常に音楽に忠実なもののように感じられます。まず、曲の編成に応じて、合唱の場合は大人数、ソロの曲の時はソリストだけによるダンスというような扱いからも、それはよく分かりますし、振りも音楽のビートに完全にのっとったものです。言ってみれば、ディズニーが作った「ファンタジア」のような世界でしょうか。嫌われてしまいましたね(それは「アンタイヤ」)。このバレエ団には日本人のプリマもいらっしゃっていて、「Kyrie」(つまり、ソプラノ1のソロ)では木村規予香さん、「Laudamus te」(ソプラノ2のソロ)では大石麻衣子さんという方のソロダンスを見る事が出来ます。
Gloria」と「Credo」(もちろん、2曲だけ)が終わったあとに、それぞれ、衣装も舞台装置(といっても、後ろに鏡を置くだけですが)もガラリと変わって、さっきの「現代」音楽が、これは生ではなく録音で流れます。この場面の方が、実はダンスとしてはより自由度が増していて、私には楽しめました。
Benedictus」が終わると、なんと、ダンサーたちはメークを落とし、普段着に着替えて三々五々、後かたづけの始まったステージに座り込みます。そして、床材がすっかりはぎ取られた上に身動き一つしないダンサーたちの前で演奏されたのが、アロイス・シュミットのアイディアによる、「Kyrie」の素材をそのまま使った「Agnus Dei」です。この、ダンサーが全く踊っていない「バレエ」がもっとも印象的だった、という皮肉。これこそが、「振り付け」の究極の形なのかも知れません。
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by jurassic_oyaji | 2006-01-30 20:00 | 合唱 | Comments(1)
Commented by カツミアオイ at 2007-03-20 23:06 x
 こんにちは、TB返しありがとうございました。
 古典音楽とモダンバレエの融合、というのは、得てして意味不明といいますか、はっきりいって面白くなくなってしまうことが多いですが、この作品は、正直鳥肌が立ちました。
 決して押しつけがましくなく、しかし、美しく何かを伝えるようで。