おやぢの部屋2
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BACH





Flanders Recorder Quartet
AEOLUS/AE-10136(hybrid SACD)



このジャケット、モワモワした雲のようなものが描かれていますが、一体なんだと思いますか?実は、これはバッハの肖像画の一部、右端に見えるのが目と眉毛ですね。最近は、こんな部分だけを集めた「実物大」の画集なども出ていますね。この肖像画、実はこの前のポンセールの時のジャケットでも別の部分が使われていました。1748年にエリアス・ゴットロープ・ハウスマンという人が書いた、右手にカノンの楽譜を持ってポーズを取っているという、バッハ最晩年の肖像画です。店番のかたわら、書いたのでしょうか(それは「ハウスマヌカン」)。

作曲家と演奏家の名前しか表記されていないこのアルバム、中身は、そのオランダの演奏家、フランダース・リコーダー四重奏団がバッハのオルガン曲を演奏したものです。オルガン(もちろん、パイプオルガン)のパイプというものは、実は発音原理はリコーダーと全く同じです。よく、オルガンの製作現場などがテレビなどで紹介されることがありますが、その時にパイプの仕上がりを確認する時には、楽器職人はそのパイプに息を吹き込んでいます。その様子は、まさにリコーダーを吹いているのと全く変わらない光景なのですね。そんなわけで、このアイディアは非常に理にかなったものと言えることになります。
問題になるとすれば、メカニックという点でしょうか。鍵盤の上を指で(あるいは足で)軽やかに踊り回るさまを、はたしてリコーダーで再現することなど出来るのでしょうか。
しかし、そんな心配は杞憂であったことが、最初のトラックのイ短調(原曲はニ短調。リコーダーに合うように適宜移調されています)の協奏曲BWV596が聞こえてきた時に分かりました。この、これ自体もヴィヴァルディの協奏曲の編曲であるイタリア風の明るい曲調は、オリジナルのオルガンをもしのぐほど、リコーダーのアンサンブルにマッチしていたのです。もちろん、4本のリコーダーは、完璧にオルガンのパートを再現しています。そして、4人の息がピッタリ揃っていることから生まれる、あたかも一つの楽器であるかのようなアンサンブルは、殆ど驚異的と言っても良いでしょう。ラルゴの楽章で、テナー・リコーダーがきらめくような装飾を披露しているのも、見逃せません。協奏曲はもう1曲、やはりヴィヴァルディの元ネタによるニ短調(原曲はイ短調)BWV593も、素晴らしい演奏です。
この編成で、有名なパッサカリアまで演奏していたのには、びっくりしてしまいました。これも、原曲のハ短調からト短調に移調されていますが、そこで聞こえるパッサカリア主題を奏するコントラバス・リコーダーの、殆どペダル・ストップと変わらない存在感は聞きものです。なんでも、この楽器はこのアンサンブルのためにFriedrich van Huene(オランダの人の発音は難しいので、あえてカタカナにはしません)という職人が作ってくれたものだそうです。この、長さが2.2メートルもあるという巨大な楽器を、造作もなく吹きこなすこの人たちの計り知れぬ能力には恐れ入ります。
その他の曲は、コラールやフーガ、これも有名なト短調(これは原調通り)の小フーガなど、存分に楽しむことが出来ます。
こんな素晴らしいアンサンブル、本当は素直に味わっていればいいのでしょうが、やはり気になってしまうのがソロパートのビブラートです。曲によってパートを入れ替えて演奏しているのですが、特に、パウル・ファン・ルイというメンバーが一番高いパートに来た時に、その悪趣味なビブラートはちょっと違和感を抱いてしまうものです。
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by jurassic_oyaji | 2006-02-17 20:19 | フルート | Comments(0)