おやぢの部屋2
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MOZART/Konzerte

金子陽子(Fp)
Frank Theuns(Fl)
Marjan de Haer(Hp)
Ulrich Hübner(Hr)
Jos van Immerseel/Anima Eterna
ZIGZAG/ZZT 060201



モーツァルトの協奏曲集、コンテンツは2台のピアノとフルートとハープという二重協奏曲が2曲と、ホルンのための協奏曲の第3番というシングル協奏曲が1曲です。1枚のCDとしては、なかなかヴァラエティのある組み合わせで、楽しみの多いカップリングとなっています。
「2台ピアノ」では、指揮者のインマゼールがピアノ(もちろんフォルテピアノ)を担当しています。最近こそ指揮者としての活動に注目が集まっていますが、彼の場合の出発点はあくまでこの楽器の演奏家であったことを忘れるわけにはいきません。そして、もう1台のピアノが、パリを本拠地に活躍している日本人ピアニスト、金子陽子です。これは、もうインマゼールの魅力が最大限に発揮された仕上がりとなっています。録音の時の写真がジャケットに掲載されていますが、この2台のピアノは、よく見られるようなピアニスト同士が向かい合って演奏するという形ではなく、2人が仲良く並んで(つまり、ピアノは同じ向きで)座って演奏する、というスタイルです。そのせいかどうかは分かりませんが、2人の息はピッタリ合っているのが手に取るように分かります。ちょっとしたフレーズの歌い口も、パートが変わっても全く同じように聞こえてきますし、なによりも、2台の楽器の音色がとても柔らかく融合して、まるで1台の楽器のように聞こえてくるのが素敵です。もちろんそれは、モーツァルト自身も使っていたというウィーンのピアノ制作者アントン・ヴァルターの楽器をコピーしたクリストファー・クラークのフォルテピアノのクセのない素直な音色に依るところが大きいことでしょう。
「フルートとハープ」になると、そんな、聴いていて幸せになれる瞬間が殆どなくなってしまうのは、なぜなのでしょう。その最大の原因は、ここで「指揮者」としてオーケストラを管理しているインマゼールであることは明白です。第1楽章の序奏が、優雅さとは全く無縁な野暮ったいテンポで始まった瞬間から、この曲に関しては何も期待が出来ないことを悟ることになるのです。フルートのトゥンスは、このオーケストラ「アニマ・エテルナ」のメンバーですが、ソリストとしてはあまりにも存在感が希薄、何とか、もっと軽やかなテンポに持っていこうとする意志はありありと感じることは出来るのですが、指揮者に逆らってまでそれを押し通すことが出来ないという「弱さ」が、そのまま演奏に出てしまっている、というのは勘ぐりすぎでしょうか。フィナーレのテーマの八分音符の扱いも、フルーティストだけが別のことをやっていて完全に浮いている、という醜態をさらしていますし。
そこへ行くと、「ホルン」のフュブナーは、同じオケのメンバーであっても格が違います。堂々と指揮者と渡り合って、見事に自分の音楽を繰り広げることに成功しています。小気味よいテンポ感は爽快そのもの、喜び溢れるモーツァルトです。ちょっと感心したのが、ゲシュトップのうまさ。今の季節はなかなかお目にかかれませんがね(それは「タンクトップ」)。これは、この時代の楽器では出せない半音を出す時のテクニックなのですが、これを使うとその音だけ極端に音色も音量も変わってしまって、現代の楽器を聴き慣れた耳には興ざめこの上ない奏法です。しかし、この人の場合、殆どそれと分からせない絶妙の使い方が聴けます。さらに、カデンツァでは、逆にそれをうまく利用して、素晴らしい効果を上げています。
ここで、ソリストと指揮者という立場の違い、あるいはソリストとの力関係によって、さまざまな顔を見せてくれたインマゼール、それによって、彼の才能がどこで最も発揮できるのか、あるいは発揮できないのかを、私達は知ることが出来るのではないでしょうか。
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by jurassic_oyaji | 2006-02-24 19:57 | フルート | Comments(0)