おやぢの部屋2
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BACH/Cantates profanes BWV 207 & 214


Carolyn Sampson(Sop),Ingeborg Danz(Alt)
Mark Padmore(Ten),Peter Kooy(Bas)
Philippe Herreweghe/
Collegium Vocale Gent
HARMONIA MUNDI/HMC 901860



思い出したようにバッハのカンタータを出してくれるヘレヴェッヘ、今回は世俗カンタータが2曲カップリングされているアルバムです。教会の礼拝のために定期的に作らなければならなかった教会カンタータとは異なり、何かの機会に特別に注文を受けて作られたものが世俗カンタータ、この2曲も、就職祝いと誕生祝いという、おめでたい席のためのものです。ちなみに、バッハ作品目録(BWV)の201番から215番あたりまでが普通は「世俗カンタータ」と呼ばれていますが、その大半には「音楽による劇Dramma per musica」というイタリア語のタイトルが付いています。生涯オペラなどの「劇音楽」とは縁がなかったバッハですが、それに近いものをこのような形で作ってはいたのですね。R-15指定だって作っていますよ(それは「風俗カンタータ」)。
BWV207「鳴り交わす弦の相和する競いよVereinigte Zwietracht der wechselnden Saiten」は、ゴットリープ・コルテという人がライプチヒ大学の教授に就任したお祝いの席で演奏されたものです。ここでは4人の独唱者がそれぞれ「勤勉」、「名誉」、「幸福」、「感謝」という「配役」を与えられて、お芝居仕立てでこのセレモニーを盛り立てる、という形を取ることになります。
ところで、この第1曲目を聴くと、なんだかどこかで聞いたことのあるような気になるはず。それも当然のことで、これは有名な「ブランデンブルク協奏曲第1番」の3曲目をそのまま転用、そこに合唱を加えたという、いわゆる「パロディ」だったのです。こういう「使い回し」はバッハのように日々の職務に忙しくてなかなか期日までには新しい曲を作り上げるのが難しい人の場合、日常的に使っていた手法ですから、別に目くじらを立てることもないでしょう。この曲の中程、バスとソプラノの二重唱の後に「リトルネッロ」という部分がありますが、これも同じブランデンブルク協奏曲第1番の4曲目の第2トリオ、こういう形で使われると、逆に親近感が湧いては来ませんか?
BWV217「鳴れ、太鼓よ!響け、トランペットよ!Tönet, ihr Pauken! Erschallet, Trompeten!」は、その逆のケース。冒頭の合唱は「クリスマス・オラトリオ」の最初の曲だというのは、誰でもすぐ分かるはずですが、こちらの方が元ネタになっています。この曲の合唱とアリア5曲のうちの4曲が、翌年に作られた「クリスマス~」に転用されることになるのです。こちらはザクセン選帝侯妃マリーア・ヨーゼファの誕生日のお祝いのための曲、やはり4人のソリストが、平和、戦争、知恵、風評を司る4人の女神に扮して選帝侯妃を褒めちぎるという趣向です。お馴染み、タイトルそのままのティンパニとトランペットが華々しく盛り上げる1曲目がキャッチーですが、5曲目のアリアのしっとりとしたオーボエ・ダモーレのオブリガートを担当しているマルセル・ポンセールの演奏には、思わず耳を奪われてしまいます。
独唱陣は、ヘレヴェッヘの趣味でしょうか、いずれも軽めの声の持ち主で、爽やかな印象を与えてくれています。特にソプラノのサンプソンの可愛らしさは魅力的、バスのコーイも嫌みのないあっさりとした歌い方がなかなかです。しかし、テノールのパドモアは軽さが度を超して浮つきすぎ。そして、アルトのダンツ。昔はもっと深みのある声だったのに、いつの間にこんなに薄っぺらになってしまったのでしょう。
合唱は、この派手なオケに隠れてしまって、いまひとつ存在感が主張できていないように見えます。パートとしてのまとまりがいまひとつ、これも昔はもっと充実した響きを持っていたはずですが。
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by jurassic_oyaji | 2006-03-01 19:32 | 合唱 | Comments(0)