おやぢの部屋2
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James Bond Themes




Carl Davis/
The Royal Philharmonic Orchestra
MEMBRAN/222910-203(hybrid SACD)



6代目のジェームス・ボンドがやっとダニエル・クレイグに決まって、次の第21作目の制作が始まったという「007」シリーズですが、第1作が公開されたのが1962年、この新作「カジノ・ロワイヤル」が日本で公開される頃には「45周年」を迎えることになります。とてつもないシリーズになってしまったものです。
そうなってくると、数々の映画の中で登場した主題歌たちは、しっかり「クラシック」としての地位を獲得し、このような本物のクラシックのオーケストラのレパートリーともなって、この手のCDも数多く出ることになりました。しかし、お高くとまったクラシックの演奏家たちが、かつてご紹介したものほどの熱意を込めず、「たかが映画音楽」と手を抜くことを考えようものなら、彼らは手痛いしっぺ返しを食らうこととなるのです。
1曲目は、シリーズ全ての冒頭のタイトルを飾る「ジェームス・ボンドのテーマ」、このシリーズに切っても切れない縁がある作曲家ジョン・バリーの作品だと思われがちですが(私も最近までそう思っていました)実はモンティ・ノーマンによって作られた物だったのですね。この、あくまでスマートでかっこよくあるべき曲が、おそろしく野暮ったく聞こえてきたのが、そんな「手抜き」の一つの証でしょうか。何しろ、金管セクションの人達はただ譜面づらをなぞっているだけ、そこには原曲の持っているスウィング感などは微塵も感じられなかったのですから。
2曲目の「ロシアより愛を込めて」(これも、ジョン・バリーではなく、ライオネル・バートの曲だったんですね)では、こういう編成での最大の魅力である流れるように芳醇なストリングスの醍醐味が味わえることを誰しもが期待するはずです。ところが、「本職」であるはずのこの弦楽器セクションのやる気のなさと言ったらどうでしょう。もしかしたら、コストを削減するために大幅にメンバーを少なくしたのかと疑いたくなるほど、それは情けない響きだったのです。
3曲目の「ゴールドフィンガー」(ここでやっとジョン・バリーの登場です)では、アレンジの拙さが露呈されます。ニック・レーンというアレンジャーは、元ネタの「ここだけは外せない」という美味しい部分を全く無神経に変えてしまったのですからね。この曲の冒頭で最もかっこよく聞こえてくるはずの「パップヮーッパーッ」というホルンのフレーズを、「パ、パ、パ、パ、パー」と言う間抜けな形で吹かせている神経は、全く理解できません。
ところが、ジョージ・マーティンが音楽を担当した「死ぬのは奴らだ」での主題歌、ポール・マッカートニーとウィングスの「Live And Let Die」になったとたん、みずみずしいグルーヴが蘇ってきたのには、ちょっと驚かされました。そう感じたのは、この曲が、ちょっと今までとは毛色の違ったアレンジのプランによるものだったからかもしれません。ここではオリジナルのマーティンのアレンジをかなり忠実になぞっていて、メインヴォーカルの部分にはファズ・ギターをフィーチャーしています。もしかしたら、「本物の」ロック・ミュージシャンが参加することによって、今までかったるい演奏に終始していたロイヤル・フィルのメンバーが、見事にやる気にさせられてしまったのかも知れませんね。
同じようなことは、きちんとしたリズム・セクションが入った最後の「ゴールデン・アイ」でも見られます。自分たちだけの力では「たかが」映画音楽にさえ命を吹き込むことが出来なかった「クラシック」の演奏家、今活況を呈している「ライト・クラシック」とか言う分野では、このような醜態にいとも簡単に出会うことが出来ます。そんなことでええがね。
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by jurassic_oyaji | 2006-03-19 19:39 | ポップス | Comments(0)