おやぢの部屋2
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Ich war ein Berliner



James Galway(Fl)
Herbert von Karajan, Karl Böhm/
Berliner Philharmoniker
DG/00289 477 6077



RCA(つまり、SONY BMG)から、鳴り物入りでDGへ移籍したゴールウェイですが、新天地でリリースされたアルバムはヒーリングっぽい名曲集1枚だけというのは、何だか寂しい感じでした。そこへ、やっと届いたニューアルバムが、なんと過去のベルリン・フィルの録音の中で、ゴールウェイが参加しているものを集めたコンピレーションだというのですから、寂しさを通り越して怒りさえおぼえてきたものです。このレーベルは、この不世出のフルーティストを飼い殺しにしようとしているのでしょうか。お彼岸は終わったというのに(それは「半殺し」)。
しかし、見方を変えれば、オーケストラのメンバー一人をクローズアップしたアルバムなど、極めて異例な企画なわけですから、そこに価値を見出すことも出来るのかも知れません。最近でこそ演奏しているメンバーを全てライナーに掲載しているものもほんの少しは見かけるようになってきましたが、ゴールウェイがベルリン・フィルに在籍していた1970年代前半にはそんなものはありませんでした。いかに卓越したプレーヤーであっても、特別なソロを任される時以外には、その名前がクレジットされることはなく、ひたすら「オーケストラの一員」という匿名性に甘んじていたのです。ゴールウェイだからこそなし得たコンピ、多少お手軽な感は否めませんが、彼の「凄さ」が反映したものとして、とりあえず素直に喜んでみることにしましょう。
ジャケットの写真が、あのDGお抱え、カラヤンを始めとする多くのこのレーベルのアーティストを撮ってきたラウターヴァッサーによるものだというのは、注目に値します。白ネクタイの燕尾服姿のゴールウェイの写真など、極めて貴重なものでしょう。しかし、もっと貴重なのは、ブックレットの裏表紙の、この写真です。

アルバムの中で木管五重奏を演奏しているメンバーの写真なのですが、手に楽器を持っていなければ、この、まるでカーネル・サンダースのようなおじさんがゴールウェイその人だとは、にわかには信じがたいことでしょう。「DG時代」というのは、こういうことなのです。
曲目を見ると、その木管五重奏のテイクがかなりの量を占めているのが分かります。これはすでにアルバムがCD化されているのでそちらをきちんとカタログに確保しておけば済むことなのですが、もう廃盤になってしまっているのでしょうか。あるいは、これを使わないことには、アルバム1枚分のコンテンツには満たないと判断したためなのでしょうか。そうなのです。ゴールウェイがベルリン・フィルに在籍していた5年間に彼がDGに残した録音の中には、本当にオーケストラの中のソロ・フルーティストとして聴きたいと思える曲目は、実はあまりなかったのです(この時期、カラヤンはEMIにも録音を行っていました)。その辺の詳細はこちらのリストをご覧になって頂ければ分かりますが、例えば、このアルバムに収録されているビゼーにしても、「アルルの女」のメヌエットは入れていますが、「カルメン」の間奏曲は入れてはいないのです。さらに、誰でも絶対に聴きたいと思うはずのドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」だって、公式の録音はおろか、海賊盤やエア・チェックのテープすら存在しないのですからね。クーベリックとドヴォルジャークの交響曲全集を作った時も、最もフルートが活躍する「8番」だけは、なぜかゴールウェイは吹いていないのです(実は入団前)。
アルバムタイトルが「過去形」であることが、なぜか気になってしまうのは、私だけでしょうか。
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by jurassic_oyaji | 2006-03-26 20:49 | フルート | Comments(0)