おやぢの部屋2
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日本一の無責任大作戦





クレイジーキャッツ
東芝
EMI/TOCT-26009/10


「ハナ肇とクレイジーキャッツ」が世の中に与えたインパクトを身をもって体験している人など、もはやほとんどいなくなってしまったと思えるほど、この偉大なコミックバンドの歴史は長いものになっています。実際には、昨年2005年が、「創立50周年」というけっして短くはない歳月の積み重ねの節目となっていた事を知って、愕然としているところです。これがどれほどの重さをもつのかは、7人のメンバーのうちの3人までがすでに他界しているという事実からも推し量る事ができるはずです。このジャケットの集合写真、「真ん中にいる人は早く死ぬ」とよく言われますが、なぜか最も端の安田伸(左上)、石橋エータロー(右上)、そしてリーダーのハナ肇(右下)が先に鬼籍に入ったのは、常に常識に逆らってきた彼ららしいと言えないこともありません。
彼らのシングルをほぼ網羅したアンソロジーは、その2005年に2枚組みCD2セットという形でリリースされていましたが、今回のものはごく最近松任谷由美とのコラボレーションとして発表されたシングルも含め、かつて、同じように他のアーティストと共演した作品をカップリングした2枚組みのベスト盤となっています。当然、曲目は2005年のものよりは少なくなりますが、クレイジーを語る上で欠かす事の出来ないアイテムは全て揃っていますので、ご安心を。
ところで、クレイジーのベストといって私たちが思い出すのは、今から20年前、1986年に大瀧詠一のプロデュースによって作られたこのアルバムです。

 東芝EMI/CA32-1276

まさに「クレイジーおたく」であった大瀧による選曲と、克明なデータを伴ったライナーによって、このアルバムはその時点で完璧な価値をもつ資料となりえていました。ただ、音源としては、過激な歌詞が災いしてオリジナルとは微妙に違った形でしかリリースできなかった名残がまだ解消できていなかったというところが、悔やまれるところではありました。具体的には、「シビレ節」の「じいさんは中気で~」という部分が「ピー」、そして、「五万節」が、「犯罪を助長しかねない」3番と6番の歌詞を差し替えて新たに録音されたテイクが使われているという2点です。「五万節」に関しては、オリジナルバージョンが放送禁止になったということで、急遽新録音を行い、リリースから1ヶ月後に品番を変えずにニューバージョンを発売するということが行われた結果、オリジナルバージョンはとてつもないレア・アイテムとなりました。そして、86年の時点ではマスターテープも処分されたと信じられており、世の中には板起こしのカセットしか存在していなかったという状況だったのです。
しかし、作品を、作られたままのオリジナルの形で味わえるようになるという時代は、何もクラシックに限って訪れたものではありませんでした。今回のベスト盤では、晴れて何の手も加えられていない「シビレ節」や「五万節」を聴くことが出来ます。もちろん、私がCDでオリジナルバージョンの「五万節」を聴くのは初めてのこと、感慨もひとしおです。
彼らの1961年のデビューシングル「スーダラ節」を改めて聴いてみる時、青島幸男の歌詞、萩原哲晶の曲とオーケストレーション、そして植木等のボーカルに込められたとてつもない脱力感には、言葉を失います。ある意味「モーツァルト」とも肩を並べるだけの力を持つその世界観は、250年後でもその価値を失うことはないはずです。同じ曲の宮川泰のアレンジによる1979年のバージョンともども、「Still Crazy for You」という、「クレイジー」としての魅力が何もない駄作は、もちろんその前にとっくに記憶から洗い流されているに違いありませんが(「クレンザー」で)。
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by jurassic_oyaji | 2006-05-29 20:09 | ポップス | Comments(3)
Commented by dr-enkaizan at 2006-06-13 20:15
おやじさま
ゆりかもさんとこでは毎度です
このEMIの集成の方は、初CD発売の時のを所有しています。
同好の士ここに見つけ嬉しく存じ上げます。
>、「シビレ節」の「じいさんは中気で~」という部分が「ピー」、

当方の所有するところではピーという発信音ではなく、楽曲の歌詞のないカラオケか伴奏のところが割り当てられ、一瞬フーレーズサンプリングしたようになってそれがとてもしびれるような(笑)有様ですが。

貴殿の所有する盤では斯様に改竄されしまったのでしょうか?興味あります。
Commented by jurassic_oyaji at 2006-06-13 23:05
ドクター円海山さま。
コメントありがとうございます。

>貴殿の所有する盤では斯様に改竄されしまったのでしょうか?

紛らわしい書き方をしてしまって申し訳ありません。
「ピー」というのは、実際の音ではなく、その様な扱いを受ける現象の比喩のつもりでした。ですから、聞こえてくるものはお手元のものと全く同じはずです。

しかし、リゲティに続いて岩城宏之もですか。
Commented by dr-enkaizan at 2006-06-14 23:33
おやじさま 安心(笑)しました、昨今規制が厳しいので、音盤がいろいろオリジナルでないことがあり心配でもありました。

>しかし、リゲティに続いて岩城宏之もですか。
まったく同感の思いですね・・・クレィジィーもハナ肇は鬼籍にはいられており
。もう完全な再現ができないように、岩城氏がなくなられて、現代音楽を言説に惑わされたい、ニュートラルな演奏や初演ができることが少なくなってきますね。