おやぢの部屋2
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KODÁLY/Works for Mixed Choir Vol.2




Péter Erdei/
Debrecen Kodály Chorus
HUNGAROTON/HCD 32365



エルデイ指揮、デブレチェン・コダーイ合唱団というメンバーによってHUNGAROTONで進行中のコダーイ混声合唱全集の第2集です。年代順に作品を網羅していこうというこの全集、今回は1937年から1947年までの10年間、作曲家が55歳から65歳という、まさに円熟期の作品が収録されています。そして、この時代は、あの戦争が始まる時期とも重なっています。
前回、「第1集」を聴いた時には、それほど良い印象はありませんでした。しかし、今回のものを聴いてみて、そのあまりの違いには愕然とさせられてしまいました。まず、録音の状態がまったく違います。まるで素人が関わっているような、焦点のぼやけた前回のものとはまるで別物、声の「芯」がしっかり捉えられた今回の録音は、まさにプロの仕事と言えるクオリティを持っていたのです。なぜか、録音データがどこにも掲載されていないのででーたらめなことは言えないのですが、録音場所も、そしてエンジニアも変わっていなければ、これほどの違いは出るはずはありません。そして、なによりも、前回あれほど無気力な演奏しか聴かせてくれなかった合唱団が、まるで別の団体であるかのように表情豊かなものに変わっているのは、一体どういうわけなのでしょう。前の演奏がありますから全く期待しないで臨んだ私としては、これは嬉しすぎる誤算でした。
実際、録音の違いだけでは片づけられないこのハイレベルの演奏には、ちょっとすごいものがあります。なによりも、しっとりと落ち着いた「大人」の音楽を聴かせてくれる各パートの味がたまりません。そして、それが溶け合った時の一体感も見事としか言いようがありません。そんな魅力は、最初に入っている、ご存じ「孔雀」ですぐ味わうことができます。もちろん、この曲は本来は男声合唱のために作られたものですが、それを混声で歌ってもなんの違和感も与えられないほど、男声と女声の音色、そして表現は「同質性」を保っています。
同じように、男声版が良く聴かれる(本来は「同声」のためのもの)「夕べの歌」でも、この前聴いた乱暴な「男声版」の鬱憤が見事に晴れるようなとてもデリケートなハーモニーが味わえるのはなんとも嬉しいことです。
「嘆かないで」という、やはり最初は男声合唱のために作られた曲も、冒頭の男声だけによるオクターブ・ユニゾンを聴くだけで、その辺の男声合唱団よりも迫力も、そしてそこから生まれる訴えかける力も格段に勝っていることを感じることが出来るはずです。
ここに収められている曲が作られた時代、作曲家としてのコダーイも、第1集の時に比べてよりスキルアップしているのがまざまざと感じられます。同じ愛国心を歌い上げたものでも、ここでの「ハンガリー国民」で見られるのは、第1集にあった「忠誠の歌」のような力ずくのものとはひと味違った芸術作品としての完成度です。
そして、「戦争」の陰を色濃く落としているはずの1947年の作品「哀歌」に込められた透き通るような肌触りはどうでしょう。ちょっとびっくりするような不協和音は、それまでのコダーイの作品には見られなかったもの、それは、「ヴァイオリンは壊れ、歌は凍てつく」という歌詞が、見事に音楽として昇華されたものなのでしょう。そして、最後に響き渡るハ長調のハーモニーの、なんと美しいことでしょう。
この全集、あと1巻予定されています。それはいったいどんな演奏、そしてどんな録音になっているのでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2006-06-02 20:03 | 合唱 | Comments(0)