おやぢの部屋2
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Sharon Bezaly

 おとといオペラを聴いたばかりだというのに(ヒレカツ先生も出来上がりました)、今日は仙台フィルの定期に行ってきました。「美人」フルーティスト、シャロン・ベザリーがロドリーゴの「パストラル協奏曲」を吹くというので、それがお目当てです。この超難曲、CDではさんざん聴いていましたが、生で聴くのは初めて、楽しみです。あ、ベザリーも「生」は初めて、これももちろん「楽しみ」。
 プログラムは、最初に「スペイン奇想曲」、こういう大音量の曲を聴くと、つくづくこのホール(もちろん、青年文化センターのコンサートホール)でしか定期演奏会が出来ない仙台フィルが気の毒になってしまいます。真の「輝かしさ」が、どうしても出てこないのですね。それよりも、ステージの前の方になると音が痩せてしまうのでしょうか、コンマスのソロがとっても空っぽの音に聞こえてしまいました。木管のソロはきちんと聞こえていたのに。ですから、コンチェルトのソリストも、ちょっとかわいそうなことになってしまうのでは、という予感はありました。
 編成を小さく並べ替えて、「パストラル」が始まります。管楽器はこんなに少なかったんですね。オーボエ、クラリネット、トランペット、ホルンがそれぞれ一人ずつ、弦もかなり少なくなっています。ボレロのようなものを着て登場したベザリーは、意外なことにかなり長身でした。譜面を見ながらの演奏ですが、思い切り譜面台を低くしているので、めくる時にかがむのが大変そう、というより、めくりそこねたらどうしようと、こちらが心配になってくるほどでした。最初の細かい音符の連続で、やはりいやな予感が当たりました。音がほとんど聞こえてこないのです。一つ一つの音符ではなく、かたまりとしか聞こえないので、時たま高い音が目立って聞こえてくるだけで、どんな音楽なのか皆目伝わってこないのです。何だかオケとずいぶんずれているようですが、それもゴチャゴチャになって確認すら出来ない状態、初めて聴いた人はなんてつまらない曲だと思ったことでしょうね。
 続く、それこそ「牧歌的」なテーマがオケで出てくると、ベザリーはそれに合わせてとても楽しそうに体を動かし始めました。それはほとんど「ダンス」と言っても良いくらい、演奏していない時にも表現に加わろうという気持ちがとてもほほえましく感じられます。どんな難しいパッセージでも軽々と吹いてしまう上に、こんな余裕を見せるのですから、ほんと、フルートを吹くのが楽しくてしょうがないのでしょうね。
 2楽章では、メランコリックな長~いソロが出てくるのですが、これを彼女は全くノンブレスで吹いているように見えました。もちろんブレスはしているのですが、息を吸っている間に口の中にためた息を吐き出すという「循環呼吸」を非常にうまく使っているので、全く息を吸っていないように見えるのです。これは、さっきから、早いところで全然ブレスをしていなかったので「やっているな」とは思っていたのですが、こういうゆっくりとしたところでこれをやるのはとてつもなく難しいものです。このテクニックに関しては、彼女は完璧にその芸を極めた、と言えるのでしょう。ただ、聴いていると「息をしてくれよ!」と、逆にストレスになってしまいますが。
 バックのオケが、特に金管でかなり「事故」が起こっていたのが、このベザリーの軽やかなソロの足を引っ張っていて、ちょっと気になってしまいました。
 アンコールは「シランクス」、こういうシンプルな曲では、彼女の欠点がもろにさらけ出されてしまいます。なんと鈍くさいドビュッシーだったことでしょう。最後の音の伸ばしに付けられたディミヌエンドを、相変わらずミスプリントの「アクセント」のまま吹いているというセンスの悪さも。初体験の「パストラル」、出来ればもっとよいホールで、もっと音楽的な演奏で聴いてみたかったと、しみじみ思っているところです。
 ところで、「レコード芸術」の今月号の広告(キングインターナショナル)に、ベザリーの公演予定が載っているのですが、この仙台での演奏会の日程が見事に間違っています。それを信じて新幹線で仙台まで聴きに来ても、もうコンサートは終わっていますよ(本番は今日と明日)。
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by jurassic_oyaji | 2006-06-23 22:54 | 禁断 | Comments(0)