おやぢの部屋2
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RAMEAU/Les Paladins




T.Lehtipuu, F.Piolino(Ten)
S.d'Oustrac, S.Piau(Sop)
L.Naouri, R.Schirrer(Bar)
William Christie/
Les Arts Florissants Orchestra & Chorus
OPUS ARTE/OA 0938 D(DVD)



ラモーの「レ・パラダン」というオペラ、「遍歴騎士」という邦題が付いていますが、原題は複数形ですので、正確には「遍歴騎士たち」ということになるのでしょうか。アンセルムという年寄りの貴族によって城に幽閉されているアルジという娘が(ご想像の通り、この年寄りは娘と結婚しようと思っています)、昔から恋いこがれていた「遍歴騎士」であるアティスとその仲間によって救い出され、2人の愛は成就するというお話です。30曲以上あるというラモーのオペラの、これは最後から2番目の作品、もちろん、今までほとんど知られることはありませんでしたが、フランス・バロックの大家ウィリアム・クリスティの手によって、見事に蘇りました。
しかし、その蘇り方は、単に今まで知られていなかったオペラが日の目を見たなどという生やさしいものではありませんでした。2004年にパリのシャトレ座と、ロンドンのバービカンセンターとの共同制作によって「蘇演」されたこのオペラは、ジョゼ・モンタルヴォの演出と振り付けによって、「オペラ」という枠をも超えた破天荒な舞台作品として、その姿をあらわしたのです。
ステージ上には2段(3段?)となった大きなスクリーンがセットされています。そこに映し出されるのが、実際のキャストの画像を元にCG処理されたもの、それが非常にリアリティにあふれているものですから、DVDで見たぐらいでは実物の歌手やダンサーとの区別はほとんど付かないほどです。出演者は、そのスクリーンのスリットから出入りするのですが、その「スリットから出入り」するという映像までもがきちんと作り込んであるので、なおさらその区別は困難になってきます。そんな混沌とした非現実の映像と、実体のあるステージ上の人間とが一体となって繰り広げる目の回るような世界は、とことんファッショナブルでスピード感あふれるもの、一度見始めたら最後まで目を離すことは許されないという、まるで「ジェットコースター」のような刺激的な体験が味わえることになります。
そもそも、DVDのメニューに現れるのが、このステージの「地下鉄」のイメージであることからも分かるとおり、これはもろ現代の設定に置き換えられたプランにのっとっています。ラモー時代のファッションは、とりあえずCGの映像で十分に味わってもらうことにして、生身のダンサーたちにはストリートダンスによってほとんどヒップ・ホップのようなテイストをふんだんに撒き散らしてくれています。「フランス・バロックとヒップ・ホップ!」などと目くじらを立てるかも知れませんが、これが実にスッキリと様になっているのには、正直驚かされます。第3幕の「ガヴォット」で見せてくれたロボットのような動きの振りには、観客も大喜び、盛大な拍手が巻き起こっていました。
日本版の「タスキ」には、「18才未満への販売・貸出禁止」と書いてあります。そもそもCGには大量の男女のヌードが登場して場面転換の幕を引く、というシーンが頻繁に使われていますし、その様なある意味「エロ」の趣味が、おおらかな「愛」の記号としてふんだんに盛り込まれているのです。最後のシーンではついに4人のダンサーがオールヌードで登場するという「サービス・カット」まで現れ、男性も「1本」、女性も「3叢」しっかり見せてくれます。こんな美しい女性の叢(くさむら)には、やはり観客も「大喜び」のことでしょう。何たって作曲した人が裸毛(ラモー)ですからね。

歌手たちも、そして合唱のメンバーまでも、しっかりダンスをマスターしているのには驚かされます。最近出た他のDVD(これも近々アップします)でも感じたのですが、もはやダンスはオペラ歌手の必須アイテムとなってしまったようですね。アティス役のレーティプーなどは、全く遜色のない踊り、アルジ役のドゥストラックも、可憐さよりは力強さを感じてしまうのは、「鬼嫁」の観月ありさによく似たマスクのせいでしょうか。
このプロダクション、今年の11月にはほぼ同じメンバーで来日するそうです。このエネルギーあふれるステージ、ぜひ「生」で体験したいものですね。
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by jurassic_oyaji | 2006-07-05 20:33 | オペラ | Comments(0)